【DC】恋するおまわりさん【安室透/降谷零】休止中
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「おはようございます! いってらっしゃい」
例え無視をされようが、毎日笑顔で挨拶する事を忘れない。通学・通勤の時間帯、音楽プレーヤーや携帯電話から伸びるイヤホンで耳を塞いでいる人達にだって、必ず声を掛ける。米花町の駅前にある交番に配属された当初、上司に元気の良い新人だと褒められたことがある。駅前で演説を行う政治家に負けないくらい、大きな声で挨拶を繰り返す私を時々冷めた目で見る人達もいたが、もう一年以上続けていれば慣れたものだ。ギリギリまで睡眠を取り、急ぎ足で駅へ向かう人達がほとんどではあるが、中には私の挨拶に会釈で応えてくれたり、挨拶を返してくれる人がいる。そしたら心が必然とほっこりする。今日も一日頑張ろうと思える。私が出勤時、毎朝挨拶を繰り返すのはこうして米花町に暮らす人々から元気を貰う為でもあった。
毎朝会社へ向かうお父さんに抱っこされ、駅前の保育園に通う小さな子どもは、私や同僚の姿を見るなり、嬉しそうに笑って手を振る。それに我々は敬礼で応えると、お父さんはにこやかに笑いながらぺこりとお辞儀をして保育園に向かう。
エナメルバッグを弾ませながら駅まで走る男子高校生は、部活の朝練で朝が早いのだがどうにも朝が弱いらしく毎度時間はギリギリ。それでも「おはようございます」と声を掛けると、走り去る間際に、一瞬手を小さく振りながら「おはようございます!」と元気に挨拶を返してくれる。
地域のパトロールに向かった先では、小さな公演等で井戸端会議の輪に入れてもらいながら不審な出来事が無かったかどうか等の調査を行う。子どもを送り終えた若い世代のママさん達や、子ども離れした年配の方達。ご近所情報を集めるには、こういった女の情報網が役に立つ。半分以上は旦那を始めとした愚痴が占めるが、中にはオススメの食べ物やレストラン、節約上手な主婦達が利用するスーパー、料理のアレンジレシピ。役に立つ情報もたくさん行き交っている。
「そういえば、あなたお昼はどうしてるの?」
「コンビニでですけど……」
「あら、そんなに若いのにコンビニ弁当? ちゃんとした物食べた方がいいんじゃない?」
「あはは……そうは思ってるんですけど、なかなか……。朝早く起きてお弁当作るにしても冷凍食品ばかりになりそうだし、夕飯の残りを詰めるにも夕飯もコンビニ弁当や外食で済ませる方が多くて」
毎日カップラーメンなんて時もありました、とつい口を滑らせれば母と同じくらいの年のおば様方から叱責が飛び交った。
「まぁっ! そんなんだから余計心配になっちゃうのよねぇー。私の息子も社会人になってから一人暮らしするようになったんだけど、食生活が心配で、聞いてみたら案の定外食ばかり。オカズを作りに行ってみたら怒っちゃって」
それは、ただ単に母親が息子離れできていないだけなのではないのだろうか、とこっそり思ったことは心の中に止めて置く。
「わぁ! 息子さんが羨ましい。おかあさんの煮物、凄く美味しくて私大好きなんですよ! また食べたいなぁ……」
「まぁ、ほんと? 嬉しいわ。今度たくさん作って、交番に持って行ってあげる」
「ほんとですか! 助かります」
時々、こうして作りすぎたオカズを持ってきてくれるおかあさんには感謝だ。親元を離れて生活していると、やはり家庭の味が恋しくなる。しかし、料理が苦手な私は自炊をすることも滅多にない。
「あなたみたいな娘や安室くんみたいな息子がいたらよかったのになぁー」
「安室くん……?」
「あら、知らないの? 若いんだからとっくに知ってると思ってたわ。ほら、あの毛利小五郎の探偵事務所の下に、ポアロって言う喫茶店あったでしょ? あそこに最近アルバイトで入った安室透くんって言う子がいるんだけど、これがまたイケメンで……!!」
「そうなのよ! 私達にも紳士的で、夕方に押し寄せる女子高生も虜にしちゃって」
「あれで三十路とは思えないわよねぇ……。お肌ピチピチ」
きゃっきゃとはしゃぐおば様方は、まるで数十年前甘酸っぱい恋の話に花を咲かせていた頃に戻ったようだ。話に出てきた〝安室透〟という男を思い浮かべているのだろうか、頬はほんのり桜色に色付いている。
「何度か足は運んでいますが、ここ最近は全く……。マスターと梓さんしか知りません」
「あら、梓ちゃんとは仲いいの?」
「えぇ……年も近いですし、すぐに仲良くなったんですが、ほんとにここ数ヶ月行ってなかったな……」
そういえば、と思い返してみれば3ヶ月程行ってなかったことに気が付く。
「あら、安室くんが料理得意みたいでね。いくつか新メニューも出たし、レシピを変えたものもあって、中でもハムサンドが美味しいのよー」
「え、そうなんですか? なら今日のお昼、久々に行ってみようと思います。あそこのハムサンド大好きなんです」
例え無視をされようが、毎日笑顔で挨拶する事を忘れない。通学・通勤の時間帯、音楽プレーヤーや携帯電話から伸びるイヤホンで耳を塞いでいる人達にだって、必ず声を掛ける。米花町の駅前にある交番に配属された当初、上司に元気の良い新人だと褒められたことがある。駅前で演説を行う政治家に負けないくらい、大きな声で挨拶を繰り返す私を時々冷めた目で見る人達もいたが、もう一年以上続けていれば慣れたものだ。ギリギリまで睡眠を取り、急ぎ足で駅へ向かう人達がほとんどではあるが、中には私の挨拶に会釈で応えてくれたり、挨拶を返してくれる人がいる。そしたら心が必然とほっこりする。今日も一日頑張ろうと思える。私が出勤時、毎朝挨拶を繰り返すのはこうして米花町に暮らす人々から元気を貰う為でもあった。
毎朝会社へ向かうお父さんに抱っこされ、駅前の保育園に通う小さな子どもは、私や同僚の姿を見るなり、嬉しそうに笑って手を振る。それに我々は敬礼で応えると、お父さんはにこやかに笑いながらぺこりとお辞儀をして保育園に向かう。
エナメルバッグを弾ませながら駅まで走る男子高校生は、部活の朝練で朝が早いのだがどうにも朝が弱いらしく毎度時間はギリギリ。それでも「おはようございます」と声を掛けると、走り去る間際に、一瞬手を小さく振りながら「おはようございます!」と元気に挨拶を返してくれる。
地域のパトロールに向かった先では、小さな公演等で井戸端会議の輪に入れてもらいながら不審な出来事が無かったかどうか等の調査を行う。子どもを送り終えた若い世代のママさん達や、子ども離れした年配の方達。ご近所情報を集めるには、こういった女の情報網が役に立つ。半分以上は旦那を始めとした愚痴が占めるが、中にはオススメの食べ物やレストラン、節約上手な主婦達が利用するスーパー、料理のアレンジレシピ。役に立つ情報もたくさん行き交っている。
「そういえば、あなたお昼はどうしてるの?」
「コンビニでですけど……」
「あら、そんなに若いのにコンビニ弁当? ちゃんとした物食べた方がいいんじゃない?」
「あはは……そうは思ってるんですけど、なかなか……。朝早く起きてお弁当作るにしても冷凍食品ばかりになりそうだし、夕飯の残りを詰めるにも夕飯もコンビニ弁当や外食で済ませる方が多くて」
毎日カップラーメンなんて時もありました、とつい口を滑らせれば母と同じくらいの年のおば様方から叱責が飛び交った。
「まぁっ! そんなんだから余計心配になっちゃうのよねぇー。私の息子も社会人になってから一人暮らしするようになったんだけど、食生活が心配で、聞いてみたら案の定外食ばかり。オカズを作りに行ってみたら怒っちゃって」
それは、ただ単に母親が息子離れできていないだけなのではないのだろうか、とこっそり思ったことは心の中に止めて置く。
「わぁ! 息子さんが羨ましい。おかあさんの煮物、凄く美味しくて私大好きなんですよ! また食べたいなぁ……」
「まぁ、ほんと? 嬉しいわ。今度たくさん作って、交番に持って行ってあげる」
「ほんとですか! 助かります」
時々、こうして作りすぎたオカズを持ってきてくれるおかあさんには感謝だ。親元を離れて生活していると、やはり家庭の味が恋しくなる。しかし、料理が苦手な私は自炊をすることも滅多にない。
「あなたみたいな娘や安室くんみたいな息子がいたらよかったのになぁー」
「安室くん……?」
「あら、知らないの? 若いんだからとっくに知ってると思ってたわ。ほら、あの毛利小五郎の探偵事務所の下に、ポアロって言う喫茶店あったでしょ? あそこに最近アルバイトで入った安室透くんって言う子がいるんだけど、これがまたイケメンで……!!」
「そうなのよ! 私達にも紳士的で、夕方に押し寄せる女子高生も虜にしちゃって」
「あれで三十路とは思えないわよねぇ……。お肌ピチピチ」
きゃっきゃとはしゃぐおば様方は、まるで数十年前甘酸っぱい恋の話に花を咲かせていた頃に戻ったようだ。話に出てきた〝安室透〟という男を思い浮かべているのだろうか、頬はほんのり桜色に色付いている。
「何度か足は運んでいますが、ここ最近は全く……。マスターと梓さんしか知りません」
「あら、梓ちゃんとは仲いいの?」
「えぇ……年も近いですし、すぐに仲良くなったんですが、ほんとにここ数ヶ月行ってなかったな……」
そういえば、と思い返してみれば3ヶ月程行ってなかったことに気が付く。
「あら、安室くんが料理得意みたいでね。いくつか新メニューも出たし、レシピを変えたものもあって、中でもハムサンドが美味しいのよー」
「え、そうなんですか? なら今日のお昼、久々に行ってみようと思います。あそこのハムサンド大好きなんです」