「貴様…全て喰らってくれるわ！」

覗き込むようにして、幽助を睨みつける。

幽助は腰が引けつつも、剛鬼の食ってかかる視線に屈しない姿勢を見せた。

とりあえず、全力で一発ぶち込んでみるか…！

「おらぁあああ！！」

剛鬼の腹に、渾身の一撃を食らわせ、鈍い音を響かせる。

ーしかし

「探偵の割に、調査不足だな。俺の身体は、鋼並みの硬さだ。刃物も通さんぜ」

痛みで顔を歪めることはない。不敵な笑みを浮かべているだけ。

すると、その瞬間。
剛鬼は反撃し、けたたましい雄叫びと共に、幽助に拳を振り上げた。

「うぉあああ！！」

「っっ…ぁぁああ！」

剛鬼の拳が命中し、幽助は衝撃で宙に舞った。

そのまま叩き付けられるように、腹側から地面へ着地すると
剛鬼は、幽助の背中を力強く踏みつけた。

「うぐっ！！ゲホ！！！」

「幽助！！」

『ゆ、幽助君…！』

奈由とぼたんは、痛めつけられる幽助の姿を目の当たりにし、ほぼ同時に声を上げた。

すると、剛鬼は踵を返し
ギョロリとした目つきで、睨み付けてきた。

「…まずはお前ら、2人から喰ってやるか」

「っつ…！」

ぼたんと奈由は、寄り添い震え上がる。

「っ…や、やめろ！！」

力なく倒れ込んだ幽助が、必死で静止しようとするも虚しく、剛鬼は一歩一歩、2人に歩み寄る。

まるで虫けらでも見るような、残酷で非道な瞳。

情などない。
あっという間に、殺される。

恐怖で身体が…動かない。