第10話:覚醒の初期段階
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「あら!奈由ちゃんじゃないの!こんな朝早くからどうしたのよ?」
温子は、タバコを口に咥えながら、キャミソール1枚の姿で
インターホンを鳴らした奈由の前に現れた。
昨日あれほど飲んだのに、二日酔いの様子はない。
『温子さん、朝早くからごめんなさい!あの…私、昨日鞄を忘れて行かなかったですかね?』
「鞄?幽助の部屋かしら?どうぞ。中入って確認してみてよ。勝手に入っちゃって良いから!」
『ごめんなさい…お邪魔します』
奈由は遠慮がちに、家に上がった。
リビングには、昨日の温子が飲んだ酒瓶や、タバコの吸い殻がそのままの状態で散らかっている。
戸棚には、中学の入学式だろうか。
今よりも少し幼ない幽助と温子が一緒に写った写真が、額に入れて飾られてある。
『幽助君は、もう学校へ行ったんですよね?』
「どうかな。あの子が真面目に朝っぱらから、真っ直ぐ学校に向かうとも思えないし。どっかで道草食ってるかもね~」
温子は、笑いながら、キッチンでお湯を沸かし始めた。
「奈由ちゃんは、まだ学校行かなくて良いのかい?」
『あ…いや、鞄に財布も教科書も入れたままなので…見つけてから行きます』
温子は、えらいね~と呟きながら、タバコに火を付けた。
奈由は居ないと分かりつつも、失礼しま~す…と小声で呟いて、幽助の部屋の扉をそっと開いた。
6畳ほどの部屋で、フローリング。
意外と綺麗に整理整頓されている。
見渡す限り鞄は…ない。
『う、嘘でしょ…』
奈由は、あからさまに肩を落とした。
もう思い当たるところは、ただ1つとなってしまった。
行くなら、明るいうちに。今しかないな。
「どう?あったかい?」
『ごめんなさい…なかったです。もう一箇所、思い当たる所があるので、今から行ってきますね!朝からお邪魔しました!』
奈由は、ふたたび玄関へ戻り、温子は出来上がったばかりの、コーヒーを手に、奈由を見送る。
「またいつでも来てよ。幽助も喜ぶからさ」
『ありがとうございます、温子さん。また、遊びに来ますね』
すっかり仲良くなった2人は、再び会いに来る約束をして
奈由は、幽助の家を後にした。