そして、奈由は流れで、自分も抱いていた疑問を投げかけた。

『ねぇ、私も１つ聞いて良い？』

「ん？なんだよ？」

『どうして、幽助君はあんな怪物と戦ってたの？』

「「え！！！」」


幽助とぼたんは、あからさまに挙動不審になっている。
動揺がまるっきし隠せていない。先程と打って変わっての形勢逆転。


すると幽助は、しどろもどろになりながら答えた。

「いや！あ、あいつにさ、俺の大事にしてたもん盗まれちまってさぁ～！それを取り返すために、け、け、喧嘩してたんだよっ！な！なあ！？ぼたん！？」

「へ！？あ！？そう！そうなんさね！もう幽助ったら、大事な物は盗られないように保管しとかないと～！あはははっ！」



幽助君、ぼたんちゃん…う、嘘が下手すぎる！！


私の記憶が正しければ、確かあれは「レイカイ」ってところから盗まれた三大秘宝であって…幽助君の私物ではないよね。

そう言いたい気持ちをグッと抑えて、私は2人の話を聞き入れた。

「そ、そうだったんだね。早く取り返せるといいね…」

きっと、答えられない事情がありすぎるんだろうな。

私も、これ以上、色々聞かれても答えられない。

南野君が何故あの場にいたのか

きっと2人は知っているはずだけど

聞きたい気持ちを、今はグッと堪えた方が良いかな。



『……』


…私、気が付かない間に

嘘を付いたり、誤魔化さなきゃいけないことが

どんどん増えてきてるな。


正直、かなりしんどい。

心置きなく…打ち明けれたら良いのに。

そしたら、どれだけ楽になれるのかな？

でも、それにはまず…私自身がこの現実を、受け止める必要があるということも、十分理解している。