第33話:師弟の物語
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「くそっ…!お前らもう目覚ませ!オメーら自身が望んだ戦いじゃねえーんだろ!!」
戦いの最中、イチガキチームの選手達が操られていることに気付いた桑原は、攻撃を掻い潜りながら、必死に呼び掛けた。
だが「コロス」ことを命じられて動く彼らに、桑原の声は届かない。
「っ…!桑原!後ろだ!」
一瞬の隙をつかれ、相手チームに背中を取られた桑原に、幽助は強く叫ぶ。
しかし
「うぁあっ!!」
「桑原…!!」
非情の集中攻撃を浴び、あえなく倒れた桑原に、幽助と覆面選手は駆け寄った。
「おい!桑原っ!大丈夫か!?しっかりしろ…!」
「うぐっ…っ…」
桑原の顔が、苦痛に歪む。
もう戦う力は、殆ど残されていない。
「桑原…」
幽助は、頭に血が昇るのを感じながら、相手チームの方へ向き直した。
「オメーらっ!良い加減に…ぁっ……」
怒号を飛ばそうとした刹那、視線の先に佇む彼らの姿に言葉を失った。
「オメーら…」
赤い…血の涙が、彼等の頬を伝う。
その涙する姿から、彼らの精神も崖っぷちであることを知った。
きっと、彼等はこう思っている。
モウオレタチヲコロシテクレ…と。
「ひょひょひょ!これは驚いた!面白い芸を使うじゃないか!人間の精神とはゴキブリ並にしぶとく、悪あがきをしよるわい!」
諸悪の根源、ドクターイチガキは品のない高笑いを見せながら、この光景を存分に楽しんだ。
「てめぇ…外道にも程があるぜ。一体、何でこいつらをこんな姿に改造したんだ!」
「何とでも言え。貴様にゃ、理解できんかもしれんだろうが、これはワシの野望だ。最強の生物兵器を作る。ま、こいつらはその試作品にすぎんがな」
「っ…てめぇー!!」
イチガキの言葉に、幽助の怒りは限界に達していた。悪びれる様子のないイチガキに向かい、全速力で走り出す。
一発殴らにゃ気が済まない。
そんな勢いに任せて。
「そこまでだ!」
「ぐぅっ…!?」
幽助とイチガキの間を遮るように、美しく鞭が舞った。
鞭の使い手に心当たりのある幽助は、鞭の先へと視線を移した。
「蔵馬…!それに飛影に、奈由も一緒じゃねぇか!」
蔵馬達3人の姿に、おもわず顔を緩めた幽助。
一方で足止めをしたはずの蔵馬達の思いがけぬ登場に、イチガキは動揺を隠せずいた。
「何故、お前らが!アイツら…足止めに失敗しよったのか…!」
「事の真相は、お前の助手から全て聞かせてもらった。そこの3人の選手は、恩師の病を治してもらうことを条件に、イチガキの実験に身を任せることになったと。まさか…殺人機械にされるなど夢にも思わずにな」