第32話:ベスト8を前にして
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
さ、さすが秀一君…。
ホテルの部屋が隣ともなると(たまたま隣だった)朝方といえど、そりゃバレちゃうか。
『…怒ってますか?』
「流石にこれは。ここがどういう場所か分かってるでしょう?女性が、1人で出歩いて良い場所ではない」
『うぅ…分かってるんだけど!けども!でも…でも、飛影君が心配で…』
「気持ちは分かります。しかし、だからといって1人出歩いて良い理由にはならない。何かあってからじゃ遅い」
声を荒げるわけでもなく、丁寧且つ冷静に叱る秀一の言葉に、奈由は深く心を痛めた。
反省するとともに、秀一君にまたもや余計な心配をかけてしまったこと。
確かにこれは……軽率だったなと。
すると秀一は、奈由の傍へと歩み寄り、いつの間にやら頭にくっついていた葉っぱをソッと取ってくれた。
「自分の力を過信しすぎないこと。アナタは女性なんですから…力の面では、自分が弱い立場にあること、ちゃんと自覚してください」
『……うん。わかった』
「こんな頭に葉っぱ付けて…。あんまりヤンチャしないようにしてくださいね」
『…はい』
猛省しあからさまに落ち込む奈由だが、秀一は気持ちを切り替え、続けて言った。
「飛影のこと探すんでしょう?俺も一緒に探します」
『え?良いの…?』
「正直、俺も飛影は昨日の試合で相当なダメージを負ってると思う。できれば早めに治療をした方が良い。探しましょう、一緒に」
そう言って、手を差し出した秀一。
奈由は、ホッと安心した表情を浮かべ、差し伸べられた手を握りしめた。
『…ありがとう』
「ええ」
そうして2人は、島中を探し回った。
しかし暫く探し回っても、一向に飛影は見つけ出せないまま、時間だけが刻々と過ぎていった。
『どうしよう……あと少しで試合始まっちゃう…』
「…そういえば奈由、霊界探偵として色々道具を支給されてましたよね?何か使えそうな物はないんですか?」
『そうだなぁ。妖気計は妖怪のいる方角は分かるんだけど、そもそもこの島、妖怪だらけだし、全然機能しないよなぁ…』
「なら、見つけるのではなくて、こちらから呼びかける道具とかはないんですか?」
『………あぁ!!』
「え?」
まるで鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしながら、僅かに持参していた道具を取り出した。
『そうか!そうだよね!これがあった!イタコ笛!!』
取り出したのは、なんの変哲もない笛。
実際に使うのは初めてだが、飛影を見つけだせる可能性を秘めた、画期的アイテムだ。