第31話:蔵馬の戦い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『秀一君……!』
再び、俺の名を呼ぶ声が聴こえた。
さっきより、もっと近い場所から
その声が聴こえてくる。
俺は……声のする方へ、ゆっくり振り返った。
「………奈由」
そこには彼女の
奈由の姿があった。
客席を飛び出し、霊界案内人のぼたんと一緒に、リングの方まで降りてきたらしい。
『秀一君…』
こんな姿は見せたくなかった、とか
彼女は軽蔑しただろうな……とか
彼女の顔を見るまでは、不安だった。
だけど、久しぶりに再会した彼女は
実に晴れやかで
優しい笑顔を浮かべていた。
『……お疲れ様!これで一勝だよ!』
先程の試合を見て、戸惑っていることは間違いない。
だけど、そんな素振りは一切見せず、笑顔で労ってくれる彼女に…俺の心は強く揺さぶられた。
同時に、こうも思うんだ。
ああ俺は、俺が思っていた以上に
〝奈由〟にずっと
ーーー会いたかったんだな、と。
「いっでぇぇえ!」
『ちょっと!そんなに暴れたら、上手く治療できないってば!』
「だってお前!?その薬草、すんっっげぇ傷に染みるんですけど!?いや本当にマジで!」
『大怪我してるんだから当たり前でしょが。ほら〜ちゃんとこっちに足向けて。もう少しだから我慢して』
「くっっそぉ〜……アダダダ」
長らく続いた過酷な第一試合は終わりを迎えた。
無事とは言いがたいが、チームとしては何とか一勝を勝ち取ることができた。
だがその代償に…なかなかの怪我を追ってしまった。
特に、大将である幽助は重傷で、奈由はそんな幽助の治療を1番に優先することにした。
『どう?一応即効性のある薬草使ってるけど、少しは楽になった?深い傷だから直ぐに完治は難しいと思うけど…』
「あ〜確かに。ちょっと楽になってきたかな」
『良かった。それにしても…幽助君の試合は観ててヒヤヒヤしたよ。試合の直前までずっ〜と爆睡してたのに、試合が始まったら、それはそれは激しい戦いでさ…』
相手チームの大将である酎と幽助の戦いは、会場全体を白熱させる熱い一戦となった。
ハラハラする展開ではあったが、幽助も酎も試合を心から楽しみ、互いに対して最大級のリスペクトを持ちながら戦っていることが見受けられ、それはとても見応えあるものだった。