第31話:蔵馬の戦い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そうして、呂屠がスイッチに手を掛けようとした…その時だった。
「ゔっっ!?か…身体が…」
突然、呂屠の身体が硬直し、身動きが取れなくなった。
指一本さえ動かすことができない。
そうして無す術なく、スイッチの機械を蔵馬に取り上げられた。
「うんざりなんだよ、お前みたいなタイプは」
「ぅ…ぐっ…何故…」
「最も危険な賭けなんだよ。君が仕掛けたこのやり方は。1番楽で、てっとり早いように思えただろうがね」
汚れた服を手で払い落としながら言う蔵馬。
呂屠は、この蔵馬の言葉が理解できず困惑した。
「…さっき、お前にシマネキ草の種を植え込んだ。身体の自由がきかないのは、根が全身に行き渡った証拠さ」
「なっ…!?ま、まさか…」
ーーあの時
ささやかな抵抗かと思えたあの小石は…バレずに種を植え付けるための、おとりだったのか!?
「ちょっ…と…ま…待ってくれ…ま…」
「命乞いは無駄だ。俺がある言葉を発すれば、根は爆発的に成長し、身体を突き破る。君が外道で良かったよ。俺も遠慮なく……残酷になれる」
「ま、待ってくれ!悪かった!俺が悪かった!何でもするから!許してくれぇぇええぇえ!!」
「死 ね」
二文字。その、たったの二つの言葉で
呂屠の身体は、無惨な姿へと変貌した。
「うぎゃぁぁぁぁっっ…!」
悲痛に喘ぐ呂屠は、虚しくもその場に横たわる。
呂屠の身体を突き破った根からは、皮肉なほど、美しい花が咲き乱れた。
「……し、試合終了!なんと…浦飯チーム蔵馬の逆転勝利です!!これは凄い!これで一対一の五分となりました!」
この展開に、リングアナも終始興奮気味で実況をしている。
観客からは再び、野次が飛び交っているが、そんなことは浦飯チームには関係ない。
「ぃよっしゃ〜!蔵馬さっすがだぜ!」
見事に有終の美を飾り、桑原はガッツポーズを決めて勝利を喜び、飛影もまた、うっすらと笑みを浮かべた。
だが、その一方で
蔵馬の心には、不穏な想いが過った。
「ふぅ…」
気のせい…ではないだろうな。
鮮明に聴こえた、彼女の声は。
きっと後ろを振り返れば、客席の中に彼女を見つけるだろう。
何故来たんだ…と今更咎めることはしない。
だけど、見せたくなかった。こんな姿は。
きっと彼女は、軽蔑しているだろう。
こんな非道な俺を。
残酷な俺を…