第31話:蔵馬の戦い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…アンタの母親の命は預かってるぜ。南野秀一君」
ーーザシュッ!!
一瞬の出来事だった。
呂屠を仕留めると、誰もが思ったその時。
蔵馬の動きが急に鈍り、カマが頬を掠めた。
『秀一君っ…!どうして…』
予想だにしなかった展開に、会場全体が騒めいている。
だが、呂屠にとっては全てが計算通り。
この形勢逆転に優越感を抱いたのか、不敵な笑みを浮かべた。
そして、蔵馬にこう言い放った。
「分かるかい?俺が手に持つこのスイッチを押せばな…俺の使い魔がアンタの母親を食い殺すよう尾行しているんだ。この意味が分かるよな?優しい優しい…秀一君?」
「……」
蔵馬は、構えていた拳を下ろした。
意外にも素直に応じる蔵馬の姿に、呂屠は勝利を確信したのか、畳み掛けるように蔵馬を殴った。
「よ〜〜くできました。それで良いんだよ!人間想いの秀一君よォォ!」
大切な母が、人質に取られているようなもの。
どんなに殴られても、抵抗することはできない。
だが
「っ…!なんの真似だ?」
蔵馬は呂屠目掛け、指で弾いて小石をぶつけた。
痛くも痒くもない。攻撃ともとれない蔵馬の不可思議な行動に、呂屠は一旦、殴る手を止めた。
「…小石を投げつけることで、ささやかな反抗を示したつもりかよ?これからは僅かな抵抗も許さねぇぞ。さぁ、手を後ろに組みな!!」
「………」
蔵馬は、再び呂屠に従い、大人しく手を後ろに組んだ。
あまりにもすんなりと従う蔵馬に、何か策があるのか?と疑心暗鬼する呂屠だが、自分の思い通りに動く蔵馬の姿に、一種の快感を覚えたようで、ついつい挑発するような言動を繰り返した。
「くくっ……やけに素直だなぁぁ。そりゃそうか?そうだろうねぇ。優しいもんな〜?蔵馬ちゃんは、母親想いだもんなぁ?」
「………」
「それとも、自慢のムチで素早く俺の腕を切ってみるかい?痛みにびっくりして、スイッチを押しちまうかもしれねぇな!」
ーードガッ!
「くっ…!」
容赦なく腹部に蹴りを入れられ、顔を歪める。
それでも、蔵馬は決して抵抗することはない。
呂屠はそんな蔵馬に対して、更に殴る蹴るの暴行を続けた。
「ぐははっ!楽しいよ〜!!一番楽しいオモチャだぜ!抵抗できないヤツってのはよ〜!」