第30話:暗黒武術会
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
桑原の叫びと共に、新たにもう一本の霊剣が現れる。
桑原はそれを巧みに操り、霊剣を上手く曲げながら対抗していく。
「っ…!くそ!」
「鈴駒!!もっと後ろに飛べ!!」
六遊会チームのメンバーも、思いもよらない桑原の攻防に驚愕したのか、つい声を張り上げた。
ーーだが
「ば…バカな…」
桑原の霊剣は、鈴駒を突き刺し
「ざまぁ…みやがれ…」
鈴駒のヨーヨーは、桑原に直撃。
2人は完全なる相討ちの末
共に場外へと吹き飛んでいった。
「な…なんと!!両者反対方向へと場外に吹き飛びました。あ…相討ち!!相討ちです!!!」
誰もが予想をしなかった試合の展開。
会場が、一気に静まり返る。
両者共に、ヒットを食らった状態だ。
ここからの10カウントで、試合続行か。または、勝敗が決まることになる。
「カウントを取ります!1!2…」
力強い小兎のカウントが2を指し示した瞬間、場外に僅かな動きがあった。
「よいっ…しょ!!はぁ…ふぅ…あ…危なかったぁ…!!」
這いつくばるようにしてリング内へと戻った、鈴駒。
間一髪といったところか…肩で息をしながら、かなりのダメージを受けた様子だ。
「ん……っっがぁ!!くそぉ!!」
間を開けず、続いて桑原も起き上がる。
何とか動こうとするものの、ヨーヨーが身体中に巻き付き、身動きが取れない。
それでも必死でリング内へと戻ろうとするが……その努力と虚しく…
「8!9!10!桑原選手、10カウントダウンとみなし、勝者…鈴駒!!!」
ーー桑原、敗退。
長いようでいて短い第一試合が
今ここで、幕を閉じた。
だが、ズタボロ状態にも関わらず、桑原を悔しさを滲ませながら激しく雄叫びを上げた。
「ふっざけんじゃねぇ…!!馬鹿野郎がぁ~!!!俺はまだやれんぞ!ちくしょぉ~!!おいコラ!チビ!大会終わったら便所で待ってろやぁ~!!」
「じょ…冗談じゃないやい!お前みたいなしつこい奴見たことねぇ!」
まだまだアドレナリンが放出されているのか、血の気の多い桑原。
勝利はしたものの、桑原の負けん気に圧倒されて、鈴駒は逃げ出すようにリングを後にした。
『おっ……終わった……はぁ…』
片時も気を緩めることができなかった。
奈由は試合の終了に、ホッと胸を撫で下ろした。
何故だろう。
心なしかほんのりと汗ばんでる。
手も少しだけど、震えてる。
これが………暗黒武術会なんだ。