第30話:暗黒武術会
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「どうやら試合が始まってしまっているようだな。観客の声がここまで聞こえてくるわい」
「急ぎましょう!大事な試合だってのに見逃しちゃうよ!」
コエンマの先導で、駆け足気味に場内へと向かう奈由達。
どうやら試合は大いに盛り上がっている様子だ。
「よいか?場内は血の気の多い妖怪達も多い。くれぐれも気を付けて観戦してくれ。気を抜かんようにな」
ついに目の当たりにする試合を前にして、コエンマは後ろを振り返り、4人に警告を促した。
ここから先は、異世界といっても過言ではない。
奈由達は固唾を飲んで、コクリと頷いた。
『行きましょう。コエンマさん!』
「…うむ」
そうして一同は、場内へと足を踏み入れた。
この緊張感が高まるなかで
目の前に飛び込んできたもの
ーーそれは
『く…………桑原君!?』
「ぬおああああ!!!お、お、降ろせぇー!!」
リングの上には、小さな男の子が1人。
そして、その男の子が操るヨーヨーに絡められながら…宙に浮かされ、身動きの取れないでいる桑原の姿。
あまりに不可解な状況に、奈由達は困惑した。
『ええぇっ…桑原君…そんなっ…』
「あれまぁ…桑ちゃんったらタコみたいに飛ばされちゃってるよ…」
どう見ても、どう考えても、桑原の方が形勢不利だ。
奈由達はヒヤヒヤと見守るが、そんな心配をよそに、桑原は更に更に、空の方へと登っていった。
「うぁあぁあ~!てめぇ!降ろせって言ってんだろが~!?」
「眺めはどうだーい?もう少し上げたら落としてやるよ」
あんな高さから落とされてしまっては、間違いなく死ぬ。
足掻きたくても足掻けない。
鈴駒に弄ばれて、なす術もない。
桑原、絶体絶命のピンチ。
「………あっ!幽助!?」
『え!?ど、どこ!?』
「ほら!あそこ!リングの横!!」
螢子は、リングサイドを指差した。
そこには、こんな状況にも関わらず、何故か眠っている幽助と……そのチームメイト達の姿。
そこにはもちろん
『しゅ………秀一君!!』
後ろ姿だけれど、間違いない。
そこには、秀一の姿もある。
久しぶりに見つけた彼の姿に、奈由の心は大きく高まった。
「こら幽助!!桑原君が危ないって時に何を呑気に寝てるのよ!薄情者~!!」
「おいおいっ…そんな大声で叫ぶな!」
一方で、幽助を起こそうと必死に叫ぶ螢子。
コエンマが慌てて静止しようとするが、螢子はお構いなしに叫び続けた。
だが、そんな姿を
周りの妖怪達が良く思うはずもなかった。