第30話:暗黒武術会
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「束の間の優越感…楽しんだかい?」
腕を振りかざした先に鈴駒の姿はなく
気が付けば、背中を取られていた。
そして
ーーボキッッ
「なっ!?桑原君!!」
蔵馬の叫びも虚しく…桑原は後頭部から首にかけてを強く蹴られた。
たった一度の蹴りにも関わらず、相当な衝撃だったのか、軽く3メートルほどは吹き飛ばされ、桑原は床に突っ伏し倒れた。
「アッハハ!どう?ハラハラしたー?ただ倒すんじゃ面白くないからね、ちょっと演出してみました!あ、実況さん。カウントしても無駄だよ?完全に首折ったからね。そろそろ死ぬんじゃなーい?」
全てを演出だと言い切る鈴駒は、まるで純真無垢で、無邪気な笑顔を見せた。
倒れたままびくともしない桑原を他所に、既に勝利を確信したのか観客達に手を振ったりと大はしゃぎ。
だが
それこそが、束の間の優越感だった。
「誰の………首を折ったって?」
「なっ…!?」
背後から聞こえてきた声に、鈴駒は驚きつつ振り返ると、そこには頭から血を流したながらも、何とか立ち上がる桑原の姿があった。
「おーっと!?なんと桑原選手…立ち上がりました!試合は続行!一方が心理作戦で虚をつけば、一方はそれを受け立ち上がる!さぁ!第一試合から白熱の好勝負となりました!!」
全く読めない試合の展開に、実況にも熱が入る。
更に強く湧き上がる観客の歓声の中で、桑原は顔を伝う血を、自らの拳で拭き取り、ニヤリと笑みをこぼした。
「へっ……正直言って…裏をかかれたのは事実だぜ。だが……無防備のドタマに蹴りを入れても俺様を倒せねぇってことは…オメー、力はそんなにねぇな?」
「……ふっ」
この状況下でも、冷静な分析を図る。
そんな桑原の姿を見つめ、鈴駒もまた…小さく笑みを溢した。
「さすがはゲストだね。あのキックで倒せないなら…妖力で倒すしかないね」
「っ!?」
新たな手段で倒すことを決めたのか、鈴駒は…手持ちの袋の中からある物を取り出した。
それこそが、彼の最大にして最強の武器の様だ。
「魔妖妖…!(デビルヨーヨー)」
妖気を纏った8つのヨーヨー。
ここにきて新たな手法で、闘いを繰り広げようとする鈴駒。
桑原の身体に緊張が走る。だが、それと同時に…ワクワクする想いも込み上げてきた。
そうして桑原は…自らも霊剣を握り締めた。
「本領発揮か。それならこっちも………遠慮はしねーぜ!!」