第29話:それぞれの想い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『秀一君を想う…気持ち…』
静流の言葉が、奈由の心に深く浸透していった。
確かにそう。
今私が悩んでることは、まだ起こってもいない出来事なんだ。
これから起こりうる未来に懸念を抱いてるだけ。
それでも不安はつきものだけど
静流さんの言う通り。
今は、それよりも何よりも
秀一君のことを想う気持ちを
大切にしていくべき…だよね。
『静流さん…凄いです』
「何が?」
『いや…今の静流さんの言葉、本当その通りだなぁと思って。まだ起きてもいないことに頭を抱えたって……確かにしょうがないですもんね』
「ふふっ、そりゃそうよ。そういう悩みはさ、事が起きてから悩めば良いのさ。秀一君の姿に蔵馬君を見たその時…初めて頭を抱えれば良い。それまでは下手なことは考えずに…秀一君のことだけ想ってなさいって!」
明るく言い放った静流は、奈由の背中をバシッと叩いた。
意外と強い力に、おもわず前のめりになった奈由だったが、僅かながらも気持ちが晴れて、笑みが溢れた。
『有難うございます…静流さん』
「ふふ、どういたしまして」
『早く……会いたいな、秀一君に』
「明日になれば嫌でも会えるさ。いよいよ始まるんだからね……暗黒武術会が」
『……ええ』
広々とした空を、2人は見上げる。
澄んだ青に包み込まれて
心の霧も、徐々に晴れていく。
暗黒武術会
いよいよ、その幕が上がる。
~続く~