第29話:それぞれの想い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ひゃー!部屋も豪勢なもんだねぇ!あ、みてよ螢子ちゃん!トランプもあるよ!」
「本当!あ、ほらほら!アメニティーも凄い充実してるわよ!」
部屋に到着した一同は、旅の疲れからいっきに解放されて、各々の時間を満喫した。
無邪気にはしゃぐ螢子とぼたん…そんな2人を他所に、奈由と静流はベランダへと出た。
「ふぅ~」
慣れた手つきで煙草に火を付け、一服する静流。
奈由はその隣に立ち、共に首縊島の景色を眺めた。
『うわぁ…綺麗ですね』
「そうだね。だけど、この景色とは裏腹に、この島には様々な気が蠢いているわね。殺気立っているというか…何というかねぇ」
達観したように言い放った静流の一言に、奈由はおもわず反応を示し、静流の方へと振り向いた。
『静流さん、分かるんですか?その…そういう…妖気とか…』
「多少はね。そこそこ霊感はある方かな。少なくとも、和より全然強い」
『あぁ…そうなんですね』
流石は、桑原君のお姉さん。
確かに、初めて会った時からどこか異質な感じはしてたけど…
きっと静流さんは様々な物を、事を、敏感に感じ取れる人なんだと思う。
「ところで、奈由ちゃん」
『はい?』
「さっき、ぼたんちゃんとエレベーターで話してた秀一って子…奈由ちゃんの彼氏?」
『ええっっ!?』
しれっと言った静流の言葉に、おもわず赤面する奈由。口をパクパク動かすが、上手く次の言葉が出てこない。
「お。否定しないってことは、やっぱり彼氏なんだ」
『ちっ……ちが、違います!!違いますけどっ…………私の…す…っ……好きな…人です…』
振り絞りながら何とか言葉にしてみたが、顔の火照りはますます治らない。
そんな奈由の初々しい姿に、静流はクスクスと微笑んだ。
「ふふっ、初々しいったらないわね」
『んもうっ!!からかわないでください!!』
「別にからかってなんかいないわよ?それで?その奈由ちゃんの想い人が、今回の大会に出場してるわけだ?」
『………はい』
先程までの威勢の良さから一変。
奈由の表情が段々と曇った。
静流は、そんな奈由の反応を目の当たりにし、 優しく問い掛けた。
「何か…心配事でもあるのかい?」