第29話:それぞれの想い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
鈴駒のみならず、またも気配を絶ち侵入してきた人物。
常人離れした行動に、桑原は慄いていた。
「アハハッ。ごめんごめん、是流!また調子にのる悪い癖が出ちゃった!」
「もう挨拶は済んだんだろう?さっさと戻るぞ、鈴駒」
是流と呼ばれた男と鈴駒は、部屋を出ようと扉の方に向かった。
だが
是流はドアノブに手を掛けた瞬間、蔵馬達の方へと振り返り、こう言い放った。
「…せいぜい、最後の夜を楽しむことだ。明日、お前達はそのカップと同じ運命になるのだからな」
「……んなっ!?」
是流の言葉で、一斉にテーブルに置かれたカップを見つめた。
そこには、粉々に割れたカップの破片がテーブル一面に、散りばめられていた。
「い…いつの間に…」
ーーー鈴駒と是流の強烈な挨拶。
それは、蔵馬達にとって
大きな不安を抱かせるものとなった。
この大会に
どれだけの強者が揃っているのか。
きっと、想像もつかないほどの
強い奴らが…待っているはず、と。
「は~。これまた派手なホテルねぇ」
「うっひゃー!!本当に立派なもんだねぇ!すっごーい!」
「ちょっともう、ぼたんさんったら…はしゃぎすぎよ!他にもお客さんいるんだから静かにして頂戴!」
長旅の終着点、首縊島。
奈由達は、ホテルロビーに到着し、その豪華な内装に圧倒されていた。
『凄いねぇ…。っていうかここ…本当にタダで泊まって良いの!?』
「良いの良いの!アタシ達の分は、ぜーんぶコエンマ様持ちだからさ。甘えときなって!!ささっ、早速部屋へ行こう!」
まるで遠足にでも来たかのようなハイテンションのぼたん。
そんなルンルン気分なぼたんを先頭にして、奈由達はエレベーターへ乗り込んだ。
「えっとぉ、何階だっけ?」
『909号室だから…9階だね』
「9階ね。ぽちっとな!」
ぼたんが軽快に階数ボタンを押すと、エレベーターは女子4人を乗せて上へと動き出した。
意外にも緩やかに進むエレベーターの中で、奈由はぼたんに声を話しかけた。
『ねぇ…ぼたんちゃん、秀一君達もこのホテルに泊まってるの?』
「うん。この島にはここしかホテルがないからね!」
『…さすがに何階に泊まってるのは分からないよね?』
「そうさねぇ…。明日コエンマ様に会って確認するか、大会で本人達に会って確認するしかないね」
『そうだね…』
これだけ広いホテルだし…バッタリ会うこともなさそうだもんな。
明日までは…会うのは難しい、か。