第29話:それぞれの想い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『……よしゃっ』
洗面台の鏡に映る自分の顔を見つめながら呟く。
私なりの、気合いの入れ方だ。
「奈由ちゃーん!準備できたぁ!?もうそろそろ行くよーー!?」
『あっ…今行くー!!』
外から聴こえてきたのは、ぼたんちゃんの声。
私は慌てながら、大量の荷物を抱えて玄関の扉を開けた。
『ごめん!お待たせ!』
「ほらほら、早く!他の皆と合流して、さっさと首縊島へ行かないと!」
『……うん、そうだね』
いよいよ…明日は暗黒武術会。
これから私達は、会場のある首縊島に向かう為、港から船に乗る予定だ。
私、ぼたんちゃん、螢子ちゃん、そして…桑原君のお姉さんとも合流し、女4人で向かうことになっている。
「忘れ物ない?もう船に乗ったら引き返せないからね!」
『大丈夫。念入りにチェックしたから』
…まさかなぁ。
秀一君と会えないまま、この日を迎えるなんて…思いもしなかった。
会いたくて会いたくて、何度秀一君のクラスに通っただろう。
だけど、そんなある日。
私は…クラスの子から衝撃的な一言を聞かされた。
「昨日の放課後、南野君が奈由ちゃんに会いに来てたよ。お休みだって伝えたら…残念そうな顔してた」
『うっ…嘘でしょ…』
何でこうもタイミングが悪いんだろうと頭を抱えた。
だけど…それも致し方ないことだと、納得するしかなかった。
何故ならば
その時既に私は、暗黒武術会に医療サポートとして同行することが決まっていたため、妖力を更に強化しようと、必死で鍛錬を積んでいる真っ最中だった。
幻海師範に修行をつけて欲しかったけれど、師範のお寺はあまりに遠くて通えず…独学での修行を始めた。
正直、不器用な私には学業との両立は体力的に厳しく…学校も休みがちになってしまっていた。
勿論学校は大事だけど、あの時の私には、妖力を上げることの方が大切だった。
今ここでちゃんと力を身に付けないと、いざという時に、秀一君、幽助君、桑原君、飛影君を……助けられない。
だからこそ、無理をしてでも妖力を高めたかった。
なりふり構わず必死の特訓。
その甲斐あって、以前よりも格段に妖力は上がっていった。
これで皆の役に立てるんだ!!
そう自信を持ちながら
日に日に迫る
暗黒武術会までのカウントダウン。
私は、迫り来るその日に
また新たな不安を抱え始めていた。