第28話:闇からの招待状
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『あ、暗黒武術会…って?』
奈由は、何のことだかさっぱり分からず首を傾げた。
すると、それに見兼ねた戸愚呂が、暗黒武術会について詳しく説明した。
「闇の世界を牛耳る人間達が、それぞれ最強だと思う妖怪を選出し、戦わせる格闘技トーメントだ。まぁその道では…史上最悪の格闘技大会と言われてるがね」
『格闘技…妖怪の?その大会に、人間の幽助君達が出るの?』
「その戦いでは、1チームだけをゲストとして招待する。対象者は、裏社会にとって邪魔だと判断された人間が選ばれる。エントリーは、強制。選ばれた奴らに…拒否する権限はないのさ」
淡々と語る戸愚呂の言葉に、血の気が引いていく。
想像しただけでも悍ましく、あまりに現実味のないこの話に、奈由は二の句に継げず言葉を失った。
だが、そんな奈由を余所に、秀一は至って冷静に切り返した。
「幽助達は、知っているのか?」
「ああ。全員に伝えてある」
「……そうか」
強制参加という理不尽な状況にも関わらず、すんなりと受け止めた様子の秀一。
秀一の反応からして、特に異論も反論もないだろうと悟った戸愚呂は、その場で踵を返した。
「浦飯達にも伝えてあるが、チームは5人1組でエントリーしてもらう。残りの1人はお前達が勝手に選べば良い。それじゃあ、また大会で会おう…」
戸愚呂の姿は、夜の闇に吸い込まれるように消え去った。
その場に取り残された奈由と秀一は、そこに立ち尽くした。
だが暫くして、状況の整理が段々と把握できてきた奈由が、恐る恐ると秀一の方を振り向いた。
『秀一君…』
「………」
『本当に……参加しなくちゃいけないの?拒否はできないの?』
闇世界から招待された、闇の催し。
そんなもの参加してしまったら
きっと、生きては帰れない。
そんなの絶対に…参加して欲しくない!
「……拒んだところで、刺客を差し向けられるだけだ。参加する以外……選択肢はない」
『えっ…』
それは
初めて見た、秀一の表情だった。
これまでにはない、冷酷な表情。
好戦的で鋭い目付き。
参加に、迷いのない言葉。
「…帰ろう。自宅まで送ります」
『…………うん』
奈由は、それ以上何も問い掛けることができず、秀一と再び歩きだす。
そして、何もかもが
モヤモヤしたまま
気付けば
…1週間が経過していた。