第27話:大切な君と君へ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
奈由がニコッと微笑むと、秀一は少し遠慮がちに、テーブルに置かれた奈由の手の上に、ソッと自身の手を覆い被せ握りしめた。
「また……懲りずに、家に来てください。母さんも喜びますから」
『う…うん!私も来たい!だから、またお家に呼んでね?絶対に行く』
「…もちろんです」
互いの瞳を見つめる2人は、頬を赤らめた。
今日一日の出来事が…きっと、2人の間に大きな変化を齎し、心の距離をグッと縮めた結果だ。
いつになく、アナタを近くに感じる。
ーーガチャッ
「ただいまぁ」
『っ……おかえりなさい!』
1冊のアルバムを抱えて、志保利が戻ると、2人は咄嗟に手を離し、何事もなかったように振る舞った。
「懐かしいね。そのアルバム」
「ふふ、そうでしょ?秀一が赤ちゃんの頃から5歳くらいまでかしら?良かったら見てみてね」
『有難うございます!』
志保利からアルバムを受け取り、ワクワクしながら1ページ目を開いた。
照れ臭そうにしながらも、横から覗き込むよう、秀一も自身の成長記録を眺めた。
『わ…わぁ~!可愛い!秀一君、生まれた時から目がパッチリだね』
「そう?別に普通じゃないですか?」
『何言ってんの!こんなに目クリクリじゃん。』
大はしゃぎでアルバムを見ながら、談笑を交わす奈由達。
そんな2人の様子を、テーブルを挟んで向かいに座る志保利は、終始ニコニコしながら見守った。
すると、奈由はアルバムの半分を見終えたところで、ある1枚の写真に目を奪われた。
『この写真…』
「あぁ…これは庭の桜が咲いた時の写真ですね。確か…4歳くらいだったか」
その写真は
桜の木の太い枝に腰掛けながら、空を見つめている様子を、写し出したものだった。
『庭の木って…桜の木だったんだ。前にプリント届けに来た時、何の木かな~?って、疑問だったんだ』
こんなに立派な桜が咲くんだ…。
『綺麗……』
桜の美しさにも目を奪われるが、何よりも1番、目を引かれるのは秀一の表情だった。
4歳児とは思えない、大人びた表情。
蔵馬としての人格が、内面にあるのだから仕方ないのかもしれない。
だけど…それを抜きにしても、この写真だけは、異質なほど雰囲気が違っている。
きっと、恋い焦がれてる。
あの人の存在を。
相手が誰かなんて
そんなこと、言うまでもないけど。