第27話:大切な君と君へ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『志保利さん…』
…私の方こそです。
あの時出逢えて
志保利さんの人柄に、少しでも触れられたから
志保利さんを通じて、秀一君の人となりも知ることができたんです。
優しくて温かな志保利さんに
愛情いっぱいに、育てられたから…今の秀一君がいるんだなって。
お礼を言いたいのは…私なんです。
『私も、志保利さんに出逢えて…凄く良かったです。あの時…私がしたことが、少しでも志保利さんのお力になれていたなら…こんなに嬉しいことないです!本当に元気になってくれて良かった…』
「奈由…」
2人の話をジッと聞き続けていた秀一は、ふいに視線を奈由の方へと移した。
そこには、照れながらも笑顔を見せる奈由の横顔があった。
その笑顔の中に、心の底から母の回復を願ってくれていた奈由の御心が垣間見えた…そんな気がした。
「奈由ちゃんは、本当に優しいお嬢さんね。これからも秀一共々…末永く仲良くしてちょうだいね?」
『はい!もちろんです!』
より一層仲を深めた2人は、その後も話題が尽きることなく、お喋りを楽しんだ。
秀一は、殆ど口を挟まなかった。
むしろ、2人が楽しそうに話している姿を見ていたかった。
大切な者達に囲まれる、幸福感と安心感。
こんな心地の良い空間が
この世に存在していたなんて。
秀一は…ただひたすら、その空間に身を委ねて
幸せを、噛み締めていた。
「そうだ、奈由ちゃん。秀一が子供の頃のアルバム見る?」
『え!良いんですか!見たい見たい!』
「ちょっ…母さん!そんな恥ずかしい物見せなくても…」
「あらぁ、良いじゃない。ちょっと待っててね。2階にあるから、取ってくるわ」
デザートのケーキを食べ終え、一息ついたところで、志保利が思い出したように言った。
秀一が慌てながら拒むも、志保利は嬉しそうに、颯爽と二階へ向かってしまった。
リビングに残された奈由と秀一は、静まり返ったリビングで、ふと見つめ合いながら、おもわず笑みを漏らした。
『ふふふっ、志保利さん…元気になって良かったね!』
「すみません…奈由に会えたのが本当に嬉しかったみたいで…随分はしゃいでますね」
『あははっ!何で謝るの?あんなに喜んでくれて、私だって嬉しいんだよ?』