第27話:大切な君と君へ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『あの…志保利さん、これ良かったら』
「あら!そんな気を使わなくて良かったのに…なんだか申し訳ないわね」
『いいえ!ささやかなものなので。3人分あるので、あとで一緒に食べれたらなぁ~と思って』
「ふふふっ、じゃあ食後のデザートにしましょうね。有り難く頂くわ」
和やかな空気に包まれ、心底嬉しそうに微笑む志保利と
そんな志保利を見つめて、秀一もまた笑顔を覗かせる。
団欒とした雰囲気の中
着々と夕食の準備は進められて
まるで誕生日会のように、豪勢な料理が並んだ。
『ひゃあ~!すごく美味しそう!!こんなに沢山…!』
「母さん…凄い気合い入れたね」
「奈由ちゃんが初めて我が家に来てくれたんですもの。さぁどうぞ召し上がって!」
『志保利さん、有難うございます!では…頂きます!』
目の前に並ぶ料理の数々にワクワクと胸躍らせながら、奈由はパンプキンスープを一口目に選んだ。
南瓜の甘い匂いに食欲をそそられながら、しっかりとスープの味を堪能する。
『んんっ~!すっっごく美味しい!』
「そう!良かった。沢山食べてね!まだまだあるから」
奈由の素直でダイレクトな反応にホッと顔を緩ませた志保利は、次々と料理を勧めていった。
秀一はというと、奈由の隣で食事を頂きながらも、何とも見慣れないこの光景に、戸惑いを感じていた。
「何か変な感じだな…。奈由が家にいるなんて」
「ふふ、本当ね。でも奈由ちゃんがいると、お家の中がパッと華やかになって楽しいわね」
『いえっそんな…!でも、本当に嬉しいです。お家に招待して頂けて。志保利さんにずっと会いたかったので…』
「私だってそうよ?奈由ちゃんにもう一度会って、あの時のお礼がしたかったから…」
『え…?あの時って?』
ーー奈由ちゃんと…初めて出逢った、あの日。
私が落としたコップを、拾い上げて
手助けしてくれた奈由ちゃん。
気持ちが滅入っていた私を、励ましてくれた。
どれだけ、救われたことか。
「初めて逢った時…私がコップを落として、助けてくれたでしょう?それだけじゃなく、話し相手にまでなってくれて、本当に嬉しかったのよ」
『いやいや!そんなお礼を言われるようなことじゃ…』
「いいえ。それだけのことをしてくれたの、奈由ちゃんは。長い入院で閉鎖された生活だったから、当時は本当に気が滅入っていてね…。でも、奈由ちゃんの明るい笑顔に救われて元気になろうって、心から思えたの。本当に…有難うね」