第3話:蔵馬と木花
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だが、そんな俺の想いとは裏腹に
君は…
俺の手を取り
そして、握りしめて
柔らかく微笑んだ。
『大丈夫。貴方に何かあれば、私が貴方を…助けます。だから、貴方に…宝具は必要ないのです。私が…ここに居る限り』
俺と君だけが、その世界に取り残されたように感じた…不思議なひと時だった。
時が止まったような、不思議な感覚。
そう。
俺は…この桜の木の下で…
君にーーーー恋をしたんだ。
「…今日のところは、退散する」
『え?もうお帰りに?』
「日が暮れている。貴様ら妖花族は、夜は外に出ないのだろう。お前もさっさと帰れ」
『し、しかし…』
「さっさと帰れ」
冷たく言い放ち、背を向けた。
『……私、木花といいます。良ろしければ…また来てください』
背中から聴こえる君の声は、とても優しい声色をしていた。
そんな彼女の言葉に、思わず表情が緩む自分がいる。
「次は、盗む。必ず」
『……はい』
俺は、そう言い残し
夜の闇へと、消えていった。
次は盗む…そう言ったのは
宝具に、対してではなかった。
目的は、変わっていた。
俺は……君の心を盗む。
俺が、本当に欲しいのは……
木花だ。