第27話:大切な君と君へ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
十前十美だと思っていた彼の姿が
初めて、砕けて見えた瞬間だった。
だけど、その姿がカッコ悪いとか、嫌とか思うことは全然なくて
むしろ
そうやって悩んだりする姿は
まるで、人間味に溢れていて、安心する。
蔵馬の人格と
南野秀一の人格を
併せ持ち、生きる貴方から…
そんな一面が垣間見れて
私は、嬉しい。
『私を木花じゃなく…奈由としても見てくれてるから…そうやって悩んでくれてるんだね』
「……っ…」
別に、好きと言われたわけじゃないし
両想いに、なれたわけでもないけれど
私のことを
群青奈由として…
1人の人間として、見極めようとしてくれている。
それだけで、今は十分じゃないか。
『困らせること聞いて…ごめんなさい。でも、秀一君の本音が聞けて嬉しいよ。自分の気持ちが分からないっていうのも……今、心の中にある大切な気持ちだもんね』
「……」
『有難う。気持ち…教えてくれて…』
奈由が感謝を述べるも、それに対して、秀一は何も言わず、神妙な面持ちのまま。
奈由は、そんな秀一の気を晴らそうと、笑顔一杯で秀一の両手を握った。
『わ…私も!また木花に意識を取られたり、記憶を取り戻したりするかもだけど、次は取り乱さないようにする!だから…その……秀一君も…ゆ、ゆっくり…上手くやっていこう?過去の自分と…今の自分と…ね?』
「………」
さ、さっきまで…
私の方が落ち込んでいたのに…
今は、秀一君の方が落ち込んだ様子を見せてる。
ど…どうしたものかな。
『さ…さて!この話は終わりで!そ…そろそろ志保利さんのところ行こ!あ、ケーキも買いに行かないとだ!』
奈由は、大袈裟すぎるくらいのハイテンションで、秀一の手を引き歩き出そうとした。
だが、その刹那
「待って…奈由」
迷いに満ちた表情を断ち切り、秀一は真剣な眼差しで、奈由を見つめた。
「これからも……傍にいて良いんですか?」
『え…?』
「どちらも大切だなんて、あまりに虫が良すぎるのに………こんな考え方の俺が傍にいて、嫌じゃないですか?」