第27話:大切な君と君へ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『嫌って言ったのに…強引…っ…』
「…泣いてると思ったから」
『だからっ…嫌なの!こんな顔見られたくな…』
言葉を言い終えるよりも前に、秀一は、奈由を優しく包むように抱き寄せた。
「分かってる。あれは……奈由ではなく…木花だった」
『っ…』
「突然、乗っ取られたような感覚が襲って驚きましたね。でも、もう大丈夫です。今ここにいるのは…紛れもなく奈由ですから」
ーー奈由
名前を呼ばれて、強張っていた緊張が一気に解けていく。
さざ波の様に、安心感が押し寄せて
今ここにいるのは、自分なんだ、奈由なんだ…と改めて認識し
次第に、安堵の涙が込み上げてきた。
『ふうぅぅ~…びっくりしたぁ…』
「うん。もう、大丈夫」
少しづつ落ち着きを取り戻してきた奈由を腕に抱きながら、秀一は安堵の笑みを漏らした。
「だいぶ、落ち着きました?」
『……うん』
「良かった」
『…秀一君』
「なに?」
『私に……………木花に戻って欲しいと思ってる?』
ふいに、溢れた想いだった。
もう、黙ってられない。
聞かなきゃ、いけない。
木花への愛を語った秀一君の姿に
私は………確信してしまったから。
秀一君は
蔵馬は
木花と今でも一緒にいたいと、願ってる。
本当に、唯一無二の存在だったんだ。
ならば、尚更
木花の記憶を取り戻し
木花として、再び生きることを
私に望んでる…はずなんだ。
『秀一君が…木花のことを今でも愛してること…よく分かった。それなら…私に木花に戻って欲しいと…願ってるんじゃない?』
「…………」
重苦しい空気が、2人の間に流れる。
だが、奈由は意を決して、次々と言葉を紡いでいった。
『私を守るため…危険に晒らないようにすることを義務だと思って…自分の本音を隠そうとしてない?私は、秀一君の…気持ちが知りたい。秀一君が……木花として生きることを、私に求めているのかどうかを…』
本当はね…あなたと
木花の話をするのは、怖かった。
避けたかったよ。
だけど
蔵馬の愛を目の当たりにしてしまった以上は
もう、無視はできない。
秀一君のことが大好きだからこそ…このまま、有耶無耶にしていたら駄目だと思う。
私は、木花の生まれ変わり。
生まれ変わりといえど、前世の能力を手にし、その力を今世に活かしてる。
すなわち、前世の自分に、肩足を突っ込んでるようなもの。
ならば、秀一君の真意を知り、受け止めるか受け止めないか、決断しなきゃ。
秀一君
貴方は、私に何を望む?
木花として生きること?
それとも…
奈由として…