第27話:大切な君と君へ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
〈以上を持ちまして、プラネタリウムの上映を、終了致します。またのご利用、お待ちしております。〉
館内に流れたアナウンスが
奈由の脳内に…響いた。
『………っっっっ!?』
奈由は飛び上がるようにベッドから離れると、いつになくポカンとした表情を浮かべている秀一と、絶妙な距離感で見つめ合った。
『え…あ…の…』
叫び声も出ないほど、自分の行動に驚きを隠せない。
何、今の?正気?
信じられない。
あり得ない。
今…今…私…
秀一君にキスしようと…した?
いや、違う!私じゃない!
あれは…私じゃなくて…
木花が…
『ご…ごめん!ちょ…先出るね!』
「あっ…奈由!」
勢いで、プラネタリウムを飛び出してしまった。
顔を俯かせながらも、必死にその場を駆け出し、何とか秀一から離れようと試みる。
だが
「奈由!!」
呆気なく、腕を掴まれた。
当然だ。こんなヨタヨタした走り方じゃ…追い付かれるに決まってる。
奈由はその場に立ち止まるも、秀一の方へは振り向こうとせず、背を向けたまま。
『ごめん…違うの。あれは…私じゃなくて…っ…』
「奈由…」
『ごめん、本当に。自分でもびっくりするくらい動揺してて。あんなことしといてなんだけど…あっ…や…私がしたわけじゃないけど…』
どうしよ。頭の中がパニック。
あの時…
一瞬にして、記憶をシャットダウンされたような、不思議な感覚に襲われた。
木花への想いを吐露する秀一君を前に
私の心の奥底で、スイッチが鳴る音が聴こえた。
そして、そのまま…
意識を奪われて
秀一君の首に手を回して
キ、キスをしようと…。
心から、慈しむように。
待ち焦がれていたように。
「奈由…大丈夫。全部理解しています。だから……こっちを向いてくれませんか」
『無理。今…私、絶対ひどい顔してるもん』
「奈由…」
『ぃ…やだってば……やっ…』
抵抗しようにも力が入らず、呆気なく、腕を引っ張られ、身体を方向転換させられた。
『……っ…』
潤んだ瞳に、真っ赤に染め上げた頬。
1つの感情では収まらない複雑な想い達が、奈由の心をグルグルと忙しなく巡る。
奈由は、少し膨れた表情をしながら、秀一から視線を逸らした。