第26話:紡ぎあげる時
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「初めて出逢った…あれほど、身も心も美しい妖怪に。木花の存在は、煮え切らない虚無感を抱いていた俺にとっての、究極の癒しだった。そして俺は…生まれて初めて…生きる意味を見出したと思った」
これから先…
これから先も生きていくのならば
木花と、生きていきたい。
木花を、守れる俺でありたい。
そのためならば
今まで築いてきたものを
全て、捨てたって構わない。
財宝なんかいらない。
君さえ、傍にいてくれれば…と。
「ごめん。話が…少し逸れてしまいました。すみません…話し過ぎました」
秀一は、天を仰いだ姿勢のまま…謝った。
今…奈由の顔を、覗き込む勇気が湧かない。
木花の能力を手にした今でも、奈由は、自分が木花と同一人物ということに、理解が追い付いていない。
記憶が戻っていないのなら、尚更。
そんな彼女に…こんな話は、酷過ぎたな。
『私も……貴方に出逢えて…貴方がいたから…』
「え……?」
隣から聴こえてきたその声は
どこか懐かしい…淑やかな声をしていた。
「奈由…?」
天を仰いでいた俺の身体を、無理矢理掴んで、横向きへと体制を変えさせてきた、彼女。
そして、首元にソッと腕を回され
彼女は物欲しげな顔を浮かべ
俺の唇へと……
『蔵馬…様…』
~続く~