第26話:紡ぎあげる時
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『あ…流れ星』
星々の間を、流れ星が流れているのに気が付き、おもわず言葉が漏れた。
そんな奈由を横目に見つめる秀一は、穏やかな表情で言った。
「奈由は…実際に、流れ星を見たことあるんですか?」
『うーん…昔、お父さんとお母さんと流星群を観に行ったことあるよ。秀一君は?』
「俺は…この姿になってからは…ないですね」
この姿。
その言葉に、何故だろうか
ズキっと、胸が締め付けられる。
そっか。
秀一君…としてはないけど
蔵馬としては…あるんだ。
『…魔界でも…星が見えるんだ』
「…空気が澄んだところなら…ですけど。見ようと思えば、見られますよ」
まさか、こんな時に
魔界や蔵馬の話に、繋がるなんて。
でも、今の流れだからこそ
聞ける話も、あるかもしれない。
奈由は…小さな声で、戸惑いつつ言った。
『蔵馬……は…木花のどこが好きだった?』
「え…?」
意表を突いた質問に、秀一は、おもわず驚いた顔を見せた。
秀一の反応に、まずいこと聞いてしまったかもしれないと、奈由は、慌てて謝った。
『ご、ごめん。妖怪とか関係なしにデートしようって言ってくれてたのに…こんな質問したら……ダメだね』
「いや…」
僅かな…沈黙。
相変わらず、星々達は
奈由達の、頭上で美しく輝いている。
そんな星空の下。
秀一は、少しづつ口を開いていった。
「…最初は、一目惚れだったと思う。混沌とした魔界で、君の存在は…あまりに美しすぎた」
血生臭い、世界。
常に死と隣に合わせの、あの世界で
君の存在は、異質だった。
言うなれば、オアシスだろうか。
「魔界の盗賊として、何百年と生きてきた俺は、財宝秘宝を手に入れるために、あらゆる手段を使っては…宝を奪い続けた。そんなことを繰り返していると…ふとした瞬間に、虚無感を感じるようになった。一体俺は…何のために、盗賊をしているのか?そう…疑問に感じることが…増えていった」
ひとつ、またひとつと増えていく宝の数々。
増えれば増えるほど
心の奥に芽生える、違和感。
盗賊をやめたい…わけじゃない。
ただそれでも…自分の生き方を
本当に、これで良いのか?と
達観するようになっていった。
そんな矢先に出逢ったのが
木花……だった。