第26話:紡ぎあげる時
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
空になっていた奈由の手を、秀一はサラッと握り締めると、少しだけ強引に引っ張りながら、プラネタリウムの部屋へと入っていった。
『わぁ…広いね…』
ドーム型の大きな天井。
真っ暗な室内には、静けさが広がっている。
まだ星は投影されていないのに、まるで異空間の様。
「ここに、座りましょうか」
『うん……えっ』
秀一に先導され、腰掛けようとした席は、このプラネタリウムの売りでもある…2人掛けのベッド席。
室内の中央に5シートだけ用意された、特別席。
『ここ、大丈夫なの?特別料金払わないといけないんじゃない?』
「必要ないそうです。さっきパンフレットで確認しましたから。早い者勝ちらしいです」
マ、マジか。
いや、嫌とかじゃないけど…
これは…これは…あまりに…
きょきょ距離感が近すぎて…
「奈由、どうしました?」
『な、何でもない!す…座ります!』
緊張する面持ちで、奈由はゆっくりと…ベッドに腰を下ろした。
「ふぅ」
奈由が腰を下ろしたのを確認すると、その隣に秀一も腰掛けた。
が、腰掛けたのも束の間、秀一は仰向けで寝そべる体制になった。
「うん……これなら、見やすそうですね。奈由は?寝転がらないんですか?」
『えっあ…え、え…』
ドキドキと高鳴る胸を必死に抑えながら、奈由は意を決し、秀一の隣へと寝転がった。
『し…失礼しますっっ』
ひ…ひゃぁぁぁ~!!!
近すっっ!近すぎる!!
寝そべったこの状態で、すぐ隣に秀一君がいるなんて…
こんなの緊張しないわけがないよ~!
「……奈由?」
『ハ…ハイ』
「緊張してます?」
『ハイ…いや!?してない!別に…緊張なんか…』
緊張しているのが丸分かりな奈由を横目に見つめながら、そのあまりに挙動不審な様子が、面白おかしくなってしまった秀一は、口元を押さえながら、つい笑みを溢した。
「別に何もしないから安心して」
『へ?何を!?』
「だから、何もしないよ。ほら…もう始まりますよ」
クスクスと笑う秀一の声と共に、部屋は一気に暗転し…プラネタリウムが始まった。
開始と同時に、天井一面に映し出された星の数々。
寝そべっているおかげで、辺り一帯のひとつひとつの星々が、クリアに観える。
まるで、星の海に包まれているよう。
奈由は、あまりの美しさに恍惚として見入った。