第26話:紡ぎあげる時
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『でも…秀一君だってそうでしょ?』
「え?」
『根気強く特訓に付き合ってくれたり…私が無茶をしないかって、いつも心配してくれてる。それは…秀一君、持ち前の優しさでしょ。そういうところ、本当に尊敬してるし…いつも感謝してる』
私は、知ってる。
いつもどんな時だって
秀一君の根底にある無償の優しさを。
私は無鉄砲で、考え無しで危険に飛び込もうとするけど(一応自覚はある)
そんな時には、無闇矢鱈には怒らず、ちゃんと…叱ってくれる。
辛い時には、気持ちに寄り添うように、優しく抱きしめてくれる。
どんな時も、一つ一つの行動に懐の深さを感じてる。
「…何か、お互いに誉め合ってて…変ですね」
『あははっ、確かに!』
「万人に対して優しいわけではないですが…でも、奈由に対しては、甘い部分はありますね。つい、折れてしまうというかね」
『え?甘やかされてる感じはないけど…』
「危険に晒したくない気持ちは変わらないので、今だって助手には反対なんですよ?でも…奈由が決断したことですから。その意思を尊重し、俺は出来る限りのサポートをするまでです」
困り顔を浮かべながらも、けっして迷惑そうではない。
奈由は、そんな秀一の好意に甘えて、つい悪戯な笑みを浮かべながら言った。
『へへへ。これからも、色々無茶するかもだけど…頼りにしてますね!』
「ほどほどにお願いしますよ……本当に」
『はぁい』
「本当に分かってます?」
そんな和やか雰囲気に包まれた2人は、途切れることなく会話を楽しみ…
暫くして運ばれてきたランチを頂きながら、身も心も満たされていった。
ーーこんな時間がずっと続けば良い。
それは、2人の心に灯った
ささやかな……願いだった。
「学生2枚で」
「はい。お2人様で2500円です」
食事を終え、2人が向かった先は、プラネタリウム。
最新のプラネタリウムということもあり、投影される星の数も多く、このあたりでは、わりと有名なデートスポットだ。
「500円のお返しです」
「どうも」
秀一が、スタッフからお釣りを受け取っているその横で
財布を取り出そうとするも間に合わず、奈由は、手持ち無沙汰状態でアワアワと困り顔を浮かべた。
『秀一君…お金…』
「気にしないで。このくらいのことはさせてください」
『で…でも、お昼までご馳走になって…プラネタリウムまで出してもらうなんて悪いよ』
「俺がそうしたいからしてるだけです。奈由は気にせず、俺の手だけ握っていたら良いんですよ」
『わっ!』