第26話:紡ぎあげる時
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
表情、仕草、性格…
いつも無邪気で、天真爛漫で
どこまでいっても、彼女は
群青 奈由のまま。
きっと、群青奈由としての人生の基盤がしっかり整っているからこそ、木花の記憶や性格が、入り込む隙がないのだろう。
今世が、充実してる証。
それ自体は、有り難く喜ばしいこと。
〈 …… 蔵 馬 様 〉
「っ…」
別に
今更、木花の記憶を
想い出して欲しいとは思わない。
だけどーーー…心のどこかで
『あっ…!いた!!』
「ん…?」
聴き覚えのある明るい声に導かれ、いっきに現実へ引き戻された秀一は、声のする方に顔を向けた。
『お待たせ、秀一君!ごめんね!電車が少し遅れてて…』
「あ、いや…」
彼女の私服姿を見たことは数回あるが
今日は、また一段と違った装いをしていて…とても良く似合っている。
今日のために着飾ってくれたんだろうか。
『秀一君、どうかしたの?ボーっとして…』
「…似合ってます」
『え?』
「その格好。凄く…似合ってる」
柔和な眼差しの秀一から、早々に服装を褒められた奈由は、顔を真っ赤に染めあげた。
心臓を鷲掴みされたような痛みが全身を走るなか、奈由はドキドキと高鳴る胸を何とか落ち着かせようと、つい顔を背けた。
『あ、ア、ありがとうございます!』
やばい。やばいです。
初っ端から、心かき乱されすぎだ。
こんなんじゃ、命が幾つあっても足りない!
今日1日もたないよー!!
それに…素敵なのは……
『秀一君も…』
「え?」
『制服姿も良いけど…私服姿も…素敵…です』
照れながら言う奈由の姿を、秀一は…呆然と見つめた。
そんな思いも寄らない奈由からの一言に、ドキッ…と胸が高鳴る。
「有難う…」
『…えへへ』
はにかみながらも、互いの瞳を見つめ合った2人は
自然と、互いの手を取り合った。