第26話:紡ぎあげる時
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「『はぁ!?』」
母の爆弾的な一言で、おもわずソファから転げ落ちた父と、頬を真っ赤に染めた奈由は、ほぼ同時に絶叫した。
狼狽える奈由は、顔の前で手の平をブンブンと振りながら、必死に打ち消そうとした。
『ちちちがっ!違う!ちが~う!別に彼氏とか…そういうわけじゃ!』
「その反応…男の子ってことには間違いなさそうね!?誰よ誰よ?クラスの子!?お母さん、知ってる子~?」
「そうなのか!?奈由!ちゃちゃちゃんと答えなさい!!」
『えっ…えぇぇ!?』
な、なんてこった。
思いの外、お母さんはグイグイだし…お父さんはお父さんで、何故か動揺してるし…
うあぁっ~!もぉぉ~!!
『~~っっ!!A組の南野秀一君と出掛けてきます!ちゃんと帰ってくるから心配しないで!遅れちゃうから行ってきます!んじゃっ!』
バタンッ!!
開き直って…フルネームを言っちゃった…。
クラスが違うし、秀一君のことは知らないだろうけど
飛び出したリビングからは
両親の大絶叫が、案の定聴こえてきた。
そんな声に見送られて(?)
私は、胸躍らせながら
秀一君のもとへ…向かった。
「この辺りで…待つか」
行き交う人混みを避けながら、ろくろ首町駅の改札を抜けた秀一は、奈由と合流しやすそうな場所まで移動し、そこに立ち尽くした。
「…ふぅ」
だいぶ、早く着いてしまったな。
どうしたものかな。
いつになく浮かれている自分がいる。
早く着きすぎてしまったのも、きっとそのせいだ。
「………」
奈由と出逢ってから
今日に至るまで…
俺達を取り巻く環境は、目紛しく変化していった。
木花…いや、妖怪だった事実を受け入れられず、拒絶を続けた奈由も
移り変わる状況と環境の中で、次第に…受け入れつつある。
今や霊界探偵助手としての活動まで始め、日々の鍛錬の成果もあり、着実に妖力は増幅している。
このまま順調に妖力を高めていけば…次第に妖化し、木花の記憶を想い出したり、性格が似てくるものだが
今のところ、妖力の増加に伴って起きると想定していたその変化は…感じられない。