第26話:紡ぎあげる時
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ーー決戦、土曜日。
『……ふぅぅ』
メイク、OK。
髪型、OK。
首元には、ワンポイントネックレス。
洋服、オリーブグリーンの花柄ボータイワンピース。
靴、ブラウンのショートブーツ。
『悪く…ないん…じゃない?うん。これ…で…大丈夫…だ…よね?』
姿鏡に映る自分を見つめては、暗示のように何度も呟く。
側から見れば、かなり異様な光景かもしれないが、自分で自分を肯定していないと、本当にこれで良いのか!?と、不安になってしまうから仕方がない。
『大丈夫よ奈由…落ち着いて…今日を楽しまないと…』
そうだよ。なんたって今日は、待ちに待った…秀一君とのデートだよ?
あれから毎日毎日指折り数えて、楽しみにしてたんだよ?
今日を楽しまずして…いつ楽しむの?
『今でしょ!ぃよっっしゃ!!』
謎の掛け声をあげ、気合いを入れようと、両手で両頬を叩いた奈由は、颯爽と自室を出た。
まず最初のミッションは、一階のリビングにいる両親に、帰りが遅くなると伝えること。
こんな休日の朝早くから出て行く私を、きっと父母は不思議に思うはず。
色々突っ込まれたら…厄介だ。
でも、心配掛けちゃいけないし
ちゃんと、伝えることは伝えないと。
『お父さん、お母さん…おはよぉ…ゴザイマス』
リビングの扉を、恐る恐る開くと、両親揃ってソファに腰掛け、テレビを観ている姿が目に飛び込んできた。
結婚して何年も経つのに、休日の朝は仲睦まじく大体このスタイル。
「ん?おはよう。珍しいな…こんな早くに奈由が起きてくるなんて」
「あら、ほんと。どっか出かけるの?」
『う、うん。友達と出かけてくる。それで……夜ご飯も食べて帰るから…遅くなると思う…ます』
「お友達って、誰?沙希ちゃん達?」
『あ゛っ…やぁ~ではないんだけど…』
相手が誰と聞かれるのは、何となく想定していたけど、いざ聞かれると…しどろもどろになって、つい濁そうとしてしまう。
すると、母は鋭い目付きで、まじまじと奈由の格好を見つめた。
いつになく、ガーリーな装い。
寝坊助娘が、こんな朝っぱらから出かけるなんて…
「もしかして…彼氏?」