第25話:頬を伝う宝石
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「大丈夫か!?生きてっか!?」
「あ…たぼうよ…浦飯こそ…ズタボロじゃねぇか…へへっ…へ…」
傷だらけの桑原の顔には、どこか達成感を感じさせる、満足気な笑顔が見られた。
ーーやり切った。
そんな表情に、奈由も幽助も、ホッと胸を撫で下ろした。
…だが、ふいに背後から、妙な気配を感じた奈由は、グルリと後ろを振り返った。
『あ!ゆ……雪菜ちゃん!?』
モニター室から、こちらを静観していた垂金が、嫌がる雪菜の腕を強く引っ張り、どこかへ連れていこうとしている様子が、窓越しに見える。
戸愚呂が負け、幽助達に雪菜を奪われてしまうことを危惧して、一目散に逃げ出そうとしているんだ。
このまま逃げられては、まずい。
そう判断した奈由は、モニター室に続く階段目掛けて、躊躇うことなく、1人で駆け出した。
「おい!奈由!?1人で行くな!」
「んなっ…奈由ちゃん!!」
幽助と桑原が必死に呼び止めるが、体力がほぼゼロの2人には、奈由を追い掛けることができない。
すなわち、今ここで雪菜を助けに行けるのも…奈由だけだ。
『このままじゃ、雪菜ちゃん連れてかれちゃうよ!!2人は……そこで待ってて!!』
「ぁあ!?待てって!!1人は危険だっつの!いづづづ…!」
「奈由ちゃん!俺達が行く!いででっ!!」
痛みに悶える2人の声を、背に聴きながら、奈由は、必死で階段を駆け登った。
そして、いよいよ辿り着いたモニター室の扉を、力強く開いた。
バタンッッ!!
『雪菜ちゃん!!』
雪菜の名を叫びながら、意を決して、モニター室へと入った奈由だったが…
そこには、おもいもよらぬ先客の姿があった。
『飛影…君…!?』
雪菜と垂金の前に立ちはだかり、殺気立った妖気を、全身に漲らせる飛影。
全く思いもよらなかったこの光景に、奈由は、ポカンとして、その場に立ち尽くしてしまった。
「呪符の結界に、閉じ込めていたとはな。邪眼でいくら探しても見つからなかったわけだぜ。しかし、そこから出したのが…運の尽きだったな」
「ひっ…!わ、わ!た…助け!!」
睨みを利かせ、一歩づつ迫りくる飛影に、無様なほど怖気付く垂金は、壁に凭れ掛かりながら、必死に逃れようとする
ーーだが
飛影は、これまでの、深い憎悪と恨みを、自身の右腕に込め、大きく振り翳した。
「ぐぁあぁっっ!!」
渾身を込めた飛影の一撃は、見事ヒットし、垂金は、そこに力尽きた。
『ひ、飛影君……』
暫し静寂が流れると、飛影は、ゆっくりとした歩みで、床に突っ伏し気絶する垂金の前に立ち、見下げるように言い放った。
「…殺しはせん。貴様の薄汚い命で、雪菜を汚したくはないからな」