第3話:蔵馬と木花
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俺は君の手を握りしめ、怪我をしない様に…慎重に降ろした。
『ありがとう』
地面に足が付けても、俺は、君の手を離さなかった。
いや、離せなかったというのが正しいかもしれない。
『助かりました。いつもならば、日が沈む頃には、侍女が私を迎えに来てくれるのですが。何故でしょう…忘れられてしまったのかしら…』
「何故…降りれもしないのに木に登る」
『何だか落ち着くのです。木の上は。でも、降りるのは何だか怖くて……』
君は一度俺の手から逃がれて、自分の身に羽尾っている装束を、叩いて調えた。
『貴方はどうしてこちらへ?見たところ妖花族ではないようですが…?』
随分と警戒心が低い。これで長が務まるのか…というほどに。
「…俺は、妖狐だ。みればわかるだろう」
『…ああ!なるほど。だから、そんな素敵なお耳をお持ちなのね』
悪戯な笑顔を浮かべて、俺の耳を触ろうとした。
俺の背には手が届かなくて、少し背伸びをしながら。
「やめろ」
『ふふっ…ごめんなさいね』
君は、本当に俺を警戒しない。
出逢ったばかりなのに
むしろ、心を許してくれているような…
ただの自惚れかもしれないが、本当にそう感じたんだ。