第25話:頬を伝う宝石
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真剣な眼差しで訴える桑原の言葉に、幽助と奈由は…暫し沈黙した。
命を懸けの覚悟。
雪菜ちゃんを、助ける為に選んだ桑原君の決死の作戦なんだ。
一か八か、賭けるべきかもしれない。
「…分かったぜ、桑原。奈由、お前はもっと後ろに下がってろ」
『…分かった』
桑原の覚悟を受け入れることに決めた奈由と幽助は、その場に立ち上がり、各自持ち場に向かった。
『桑原君、絶対に…持ち堪えてね!』
「…おおっ!」
去り際に伝えた奈由の言葉に、桑原は、グッと親指をたてて応えた。
そして、痛む身体を堪えて
もう一度、戸愚呂の前に立ち上がる。
「…んん?」
先程までとは、どこか違った雰囲気を醸し出す桑原に、戸愚呂は、瞬時に違和感を覚えた。
「妙だねぇ…」
もう戦意を喪失しても、おかしくないはずなのに…何か、策でもあるのか?
「う…っ…うぉおおおお!!」
桑原は、霊剣を両手で強く握りしめ、戸愚呂目掛けて、全速力をだした。
無防備な姿で、再び立ち向かおうとしてくる桑原に、戸愚呂は、おもわずニヤリと笑みを零した。
「ふっ…玉砕覚悟か。良いだろう。ならば、ひと思いに…真っ二つにしてやろう!!」
段々、近付いてくる桑原に向かい、戸愚呂は、タイミングを見計らい、大きく剣を降り翳した。
ーーだが、その瞬間
「浦飯ー!!いまだー!!」
「おうっ!!」
雄叫びにも似た桑原の声を合図に、幽助は、人差し指を前に突き出した。
そして、指先に全てのエネルギーを込めて
「霊丸ーー!!」
桑原の背に、霊丸を放つ。
「んぐぅぅ!?っ…んぉぉおお!!」
霊丸の威力を、もろに背中で受け止めた桑原は、根性で踏ん張り、根性で持ち堪えた。
そして、霊丸のスピードと勢いに乗って、桑原の動きはどんどんと、加速していった。
「ぐぉぉぉおおお!!」
「なっ…に!?」
まるで、ロケットの様なスピードで迫ってきた桑原を避けきれず、戸愚呂は、腹を霊剣で一気に貫かれた。
「ぐぅっ…!!」
無謀と思えた桑原の作戦により、戸愚呂は致命的なダメージを受け…
ドスンッッ!!と、地鳴りのような音を響かせながら、そのまま、床に倒れてしまった。
「アンタ……やる…ねぇ…」
仰向けに倒れた戸愚呂の発したその一言に、遂に、勝ったことを実感した桑原は、安心しきったのか、全身の力が抜け、その場に力尽き倒れた。
『く…桑原君!?』
「おい!?桑原ぁ!!」
奈由と幽助は、桑原に駆け寄ると、仰向けに転がり倒れこむその顔を、心配そうに覗き込んだ。