第25話:頬を伝う宝石
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……信じられねぇ」
後方から聴こえてきた声で、いっきに現実へ引き戻された奈由は、後ろを振り向いた。
そこには、ボロボロながらも、これまで以上の強い霊力を全身に漲らせた桑原の姿があった。
「これが人間のすることかよ…!!」
『桑原君…』
桑原君にも…見えたの?
雪菜ちゃんの…意識が。
「奈由ちゃん、退いてくれ。こいつは…俺がぶっ倒す!!」
怒りを原動力にし、再び、戸愚呂に真っ向から挑もうとする桑原は、霊剣を強く握りしめた。
無謀、かもしれない。
だけど
雪菜ちゃんを助けたいと想う…桑原君の気持ちは、誰にも止められない。
止めてはいけないと、思った。
『…うん!』
奈由は結界を解くと、桑原の後ろへと下がった。
今一度、向かい合った戸愚呂と桑原の間には……不穏で緊迫した空気が流れている。
今こそ、決着の時。
「驚いたねぇ。霊力がアップしているな…」
「戸愚呂さんよ…俺がぶっ殺してーのはアンタじゃねぇ。後ろの薄汚ねぇ腐れ外道だ!さっさと…そこを退きやがれ!!」
怒号を挙げる桑原は、遂に、戸愚呂目掛けて、走り出した。
「うぉああああ!!」
「ふんっ!!」
全速力で走りながら振り翳した霊剣。
だが、案の定、それを軽やかに戸愚呂は避けていく。
「ぐっ!くそぉ…!!」
全く相手にもならない様子で、桑原の攻撃は、いとも簡単に、避けられ続ける。
ーーそして
「ぐあぁあっ!!」
戸愚呂は片手を前に突き出し、桑原の身体を、軽々と弾き返した。
『あぁっ!く、桑原君!!』
あっという間に、壁に叩きつけられた桑原は、倒れはせずとも、腹を抱えながらその場に蹲った。
「ぐっ…くそっ…が…ぅ…」
「桑原…っ…!?大丈夫か!!」
『しっかりして!桑原君!』
暫く伸びていた幽助も、やっとこさ立ち上がり、奈由と共に、桑原の傍へと駆け寄った。
すると、振り絞るような声で、桑原は言った。
「浦飯…頼みがある…」
「頼み…?なんだよ?」
「俺はもう一度、戸愚呂に攻撃を仕掛ける…!そしたら……俺の背中に向けて、霊丸を放ってくれ。上手くいきゃあ…ロケットみたいに加速して、ヤツの身体に、霊剣を突き刺せるかもしれねぇ…!」
あまりに無謀な桑原の提案に、幽助と奈由は、一度顔を見合わせ、表情を強張らせた。
『何…言ってるの!?そんなことしたら、桑原君が死んじゃうよ!?』
「そうだぜ!そんな上手くいくかも分からねぇ作戦…できるかよ!!」
「このまま…っ…負ける…くれぇならな…ここで…くたばった方がマシなんだよ!!だから……頼む!!やってくれ!」