第25話:頬を伝う宝石
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おやおや…期待外れだねぇ。もっと楽しませてもらえると思ったんだが」
「うっ…ぐぁあああ!!」
「っぉおあぁ!!」
戸愚呂は更に一方的且つ、強力な攻撃を、2人に次々と与えていった。
殴られ、蹴られ、もはやサンドバック状態。
ついに2人はやり返すこともできず、力尽き、床に転がるように寝そべった。
2人が力尽きたことを確認し、戸愚呂は、ゆったりとした歩幅で、一歩づつ2人に近寄ると、トドメを刺そうと剣を振り翳した。
ーーーーだが
『っ…ぐぅぅっ!!!』
強張る身体を奮い立たせ、戸愚呂の前に立ちはだかった奈由は、瞬時に結界を張り、戸愚呂の攻撃を、間一髪で阻止した。
隅で震え上がっていたはずの少女が、突然、結界を張ってきたことに、多少驚いた様子を見せた戸愚呂だったが、すぐさま、不敵な笑みを浮かべ、奈由を見下げて言った。
「お嬢ちゃん、良くないねぇ。男同士の戦いに踏み入ってくるなんて」
『うっ…くっ…っっ…』
「だが、その結界…そう長くは維持できんだろう?アンタの妖気がそれを物語っている。さぁ、巻き添えを食らいたくなければ…早くそこを退くことだねぇ」
全部、読まれてる。
結界は張れても…持続的に妖気を放出させることは、今の私には、まだ難しい。
だけど…今ここで私が諦めたら…
また、幽助君と桑原君が…
『イ…ヤだ!絶対退かない!!この結界がある限り……あなたに…手出しはさせない!!』
「聞き分けのないお嬢ちゃんだねぇ。そうやってずーっと結界を張ったところで、最後はアンタも力尽きて共倒れするだけだぞ…?無駄な足掻きをするくらいなら、アンタ1人だけでも逃げた方が、良いと思うがねぇ」
『逃げない!絶対に…絶対…雪菜ちゃんを…助けるまでは!!!』
その時
奈由の脳裏に
ーーーーひとつの記憶が過った。
これは…
雪菜ちゃんの…意識?
「お前ら氷女は、この呪符を当てるだけで火傷するそうだな」
「いや…やめて!いやぁああ!!」
「ほら!泣け!涙を沢山流せ!」
数々の暴行を受ける度に
苦しみの涙を、宝石へと変えていった
「隙を見て、必ず脱出させてやるからな。国に…アンタと同じくらいの妹がいるんだ」
「チャンスだ!垂金が海外旅行に出た!今のうちに!」
「でもそんなことしたらアナタが!」
「人のこと心配してる場合か!ほら、急いで……あっ!」
助けようと、してくれた心優しい人間もいた。
だけど
そんな唯一の存在さえも
「遂に尻尾を出しおったな。この裏切り者が…死ねぇ!!」
私の、目の前で
「うぉぉおああっっ!!」
私のせいで
命を落としていった
そして
再び…私は…
「い…いやぁあぁああああ!!」
悲涙を、宝石へと変えていった