第25話:頬を伝う宝石
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
戸愚呂の肩に乗っていた男の身体が、突然、鋭い剣へと姿を変形させた。
「兄者は、身体を武器に変形させる武態といってねェ…その威力は使う者の能力次第だ。そして…」
『っは…!』
戸愚呂の全身が、膨大な妖気に包まれていく。
今にも、押し潰されてしまいそうな妖気が部屋中に充満し、奈由達は、身体を縮こませてしまうほど、重圧感を感じていた。
「ぅおおおお!!」
戸愚呂が雄叫びを上げると、全身の筋肉がいっきに膨張。
身につけていた服を突き破り露わになったその肉体に、奈由達は言葉を失い、ただただ圧倒されるばかりだった。
「俺は、兄者の力を最大限発揮する筋力を持っている。俺達兄弟は…ふたりでひとつだ」
力をセーブし、隠し続けてきた、本来の戸愚呂の姿。
それは、今まで出会ってきたどんな妖怪よりも、はるかに強い妖気を放っていた。
「す…すげぇ妖気だ…!」
『くぅっ…妖気に押し潰されそう…』
全身に突風を食らったような衝撃が、奈由達を襲う。
そして、幽助と桑原が圧倒され、呆然としている様子を見計らい
戸愚呂が全速力で、剣を振り翳しながら、突進してきた。
「うおおぉお!!」
「うっ!?ぐうぁ…!!」
振りかざされた剣を、素早く霊剣で防御した桑原。
だが、戸愚呂の威力に、いとも簡単に押され、太刀打ち出来ずにいると…
『く…桑原君!!』
一瞬の隙をつき、桑原の脇腹を目掛けて、戸愚呂が拳を振り上げた。
「く…桑原ーーーー!!!」
桑原は、戸愚呂のたった一振りの拳に吹き飛ばされ、壁に全身を強く打ち付けた。
口からは吐血し、とんでもない痛みが全身を襲う。
わずか、たったの一発で…
上手く、立ち上がれずにいる。
「うっ…ゲホッ…ぅ…!」
「こっ…の…!くらいやがれー!!」
幽助は、怒りの勢いに任せ、戸愚呂の至近距離まで詰め寄ると、霊丸を放ち、見事命中させた。
「へ!ざまぁみやがれ!くそったれ!この至近距離なら…ハズさ…」
この距離でダメージを喰らわないわけがない。
そう思っていたのに
「おい…嘘だろ?剣が……いつのまにか…盾になってやがる…」
「ふふっ…ひとつ言い忘れたなぁ。兄者が化けられるのは…ひとつじゃないんだよ」
バキィィッッ!!
不敵な笑みを浮かべた戸愚呂は、続いて、幽助に向かい拳を振り上げた。
「うっっ…ぐぁ…!!」
苦しげに踠く、幽助と桑原。
その姿を、ただ見つめることしかできない奈由。
『はっ…ぁ…』
どうしよう。戸愚呂のあまりの強さに、全身の震えが止まらない。
体が…動かない。
でも、このままじゃ
幽助君も…桑原君も
本当に、殺されてしまう!!