第24話:花はヒカリ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『ちょっ…それは言わない方が…』
桑原の言いたい気持ちも分かるが、何だか…どこかから、コエンマに会話を聞かれているような気がしてしまい、妙にヒヤヒヤした。
すると、画面の向こう側から、奈由を見つめるような眼差しを向け、コエンマが言った。
〈まずは……奈由。修行、ご苦労だったな。これからのお前の活躍を期待しているぞ。今回の任務にも、是非協力してくれ〉
コエンマからの労いの言葉と、正式に今回の任務を命じられたことに、心の中でガッツポーズをした。
…幽助君は、バツの悪そうな顔してるけど。
〈では、本題に入ろうか。今回の任務は…1人の少女を救い出すことだ。これを見てくれ〉
コエンマの合図で、画面が切り替わると、そこに、広大な樹海が映し出された。
見渡す限りの緑一面。
どうやら相当な、山奥らしい。
〈霊界の使い羽達の情報で、最近分かったのだが、その少女は骨爛れ山の裾野に広がる広大な樹海の中に、秘密裏に建てられた屋敷に幽閉されておる。勿論、普通の人間には踏み入ることも不可能な場所だ〉
怪しげに揺れる木々。樹海の上だけが混沌とした雲に覆われていて、実に不気味な場所だ。
こんなところに、女の子が閉じ込められているなんて。
〈少女の名は、雪菜。氷女と呼ばれる妖怪の仲間だ。人間では…雪女、雪姫、雪わらし等とも言われている。氷女の涙は、美しい宝石の粒となる。彼女が捕らえられているのは…金儲けのために心無い人間が無理矢理、宝石を作らせようとしているからなのだ〉
『酷い…』
なんて、極悪非道な。
そんな状況下で、捕らえられている氷女の気持ちを想うと…奈由は、胸が強く締め付けられた。
たった1人で…こんなところに閉じ込められて…どれだけ心細いだろう。
涙が宝石に変わるのならば、無理矢理にでも泣かせようとして…酷いことをされているかもしれない。
なんとかして、助けないと。
〈そして、使い羽達が通信してきた少女の映像が…これだ〉
『っえ…?』
映像は…森の中から、屋敷の外観に切り替わった。
多くの呪符が貼られた鉄格子の隙間から、ソッと覗き込むように映された1人の少女。
ーーーー彼女こそが、雪菜。
奈由は、初めてみる女性の妖怪の姿に、大きな衝撃を受けた。
『…綺麗な…』
この子が…妖怪?
今まで出逢ってきた妖怪達とは、全然違う。妖怪図鑑で見た、おどろおどろしい絵とも。
絶世の美少女。
これまで抱いてきた妖怪のイメージとは、あまりにかけ離れすぎているその姿に…奈由は、言葉を失った。