第23話:咲く恋の花
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
なぁっっっにその言い方!?……と、一瞬、カチンとくるものがあったが、奈由は何とか平静を保ち、グッと堪えた。
『アハハ…そっかぁ。じゃあ、幽助君に必ず渡し…』
「……」
『て…おくね?』
「……」
『ん…?』
なんだろう?
この歯切れの悪い言葉のキャッチボールは。
いや、飛影君は終始無言のスタイルを貫いてるし、キャッチボールにもなってないか。
奈由はタジタジになり、引き攣った顔を浮かべた。
すると、何か物言いたげな表情を見せた飛影が…少しづつ、口を開いた。
「お前…次の任務には、幽助行くんだろうな?」
『え?私は…そのつもりだけど…』
「必ず行け」
わずかに、飛影の表情から、懇願するような…必死な想いを感じ取った。
だが、その想いの正体が、一体なんなのかは分からず、奈由は、首を傾げた。
『それって、どういうこと?』
「……お前が知る必要はない。ともかく、お前は大人しく幽助についていけば良い。それだけだ」
『え、えぇ!?全然よくわかんないんだけ……あっ!?』
奈由が言い終えるのを待たずして、飛影は素早い身のこなしで、姿を消した。
その場に1人、残された奈由は、ビデオテープを抱えたまま……暫く、呆然と立ち尽くした。
『一体、なんなの…?』
「そうですか…飛影がアナタのところに…」
時を経て、待ちに待ったお昼休みがやってきた。
秀一と奈由は、前回同様、屋上で食事を摂ることに。
『そうなの。それで…飛影君から、ビデオテープを渡されたんだけど、それを今日中に幽助君に届けないといけないんだ』
「では、学校が終わったら、幽助のところへ?」
『うん。そう…なるね』
秀一は「なるほど」と呟きながら、ペットボトルのお茶を一口飲んだ。
奈由も、それに合わせるように水筒のお茶を一口飲むと、不安気な顔をして、秀一に問いかけた。
『ねぇ、秀一君。飛影君って…どんな子なの?』
「どんな子…とは?」
『今日、話した印象だと…少し冷たいというか、とっつきづらい感じがしたんだよね。それとも、何か気に触るようなことでもしたのかな、私…』
あの独特な、鋭く冷たい表情。
だけど「必ず行け」と私に言った、飛影君の瞳は…あの瞬間だけ、どこか人間味を感じた。
掴み所のない…謎めいた妖怪。