第23話:咲く恋の花
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『はぁ…はぁっ…どどどうしよっ…はっ…急がないと遅刻だ…!』
修行明け早々の登校は、遅刻寸前による、猛ダッシュから始まった。
息を切らしながらも、どこか緩んだ表情を見せる奈由。
それもそのはず、今日のランチは、秀一と食べる約束をしているのだから。
こんな心ときめくイベントが用意されてるんだもん。
そりゃ浮かれもしちゃうよね。
なんてことはない平凡な1日なのに、たったそれだけの日常の一コマに倖せを感じられるなんて……恋の力っていうのは、こんなにも偉大なんだな。
ーー木花も、きっと
私と同じで、蔵馬との逢瀬を楽しみにしていたのかな。
『っえ…!?』
突然のことだった。
奈由は、急ブレーキでも掛かったように、足を止めた。
何の前触れもなく、突如、目の前に立ちはだかった1人の男。
あまりに唐突な展開に…奈由は、その場で固まった。
『……』
「……」
心に緊張を走らせながらも、お互いに視線を合わせて、終始無言。
男の鋭くキツ~イ目つきに圧倒される奈由は、オロオロしながら、必死で言葉を紡ごうとした。
『えっと…あ、あの…確か…』
「………飛影」
無駄話は嫌いといわんばかりに、端的な答え方をしたその男ーー飛影。
その名前に、奈由の脳裏には、数々の記憶が蘇ってきた。
そうだ!秀一君と一緒に…霊界の道具を盗んだ妖怪だ。
どうして…私なんかのところに?
『ひ、飛影君…だったね。こんにちわ。あの…私に何か用でも…?』
「………」
問い掛けに、なかなか返事をしてこない飛影。
まじまじと奈由を見つめるばかりで、一向に会話が進まない。
奈由は、飛影の謎めく行動に、疑問を感じながらも、答えが返ってくるのを、今か今かと待ち続けた。
「…これを、渡しにきた」
『へ?』
「コエンマからの預かり物だ」
沈黙を破り、差しだしてきた、一本のビデオテープ。
奈由は訳もわからないまま、そのビデオテープを受け取った。
『なにこれ?』
「次の指令が記されたテープらしい。それを幽助に手渡し、今日中に内容を確認して欲しいそうだ」
『えっ!?次の指令の…』
まさか、修行明け早々…指令がくるなんて!
でも、幽助君に直接渡さず何で私に?
…いや、ここでさらに質問を投げかけても、答えがかえってくる気がしないし…今は、あえて聞くのはやめておこう。
『わざわざ届けにきてくれたんだ…有難う』
「別に、貴様のために届けにきたわけじゃない。分かったら、さっさとそれを幽助に届けることだな」