第23話:咲く恋の花
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
厳しい修行ではあったけど、いざ終わりがくると、妙に寂しい気持ちに駆られてしまう。
それに…この1週間は、修行以上に得たモノも多く、意義深い時間となった。
きっと、一生忘れることのない。
ある種、人生の節目だったとも思う。
「ほれ、日が暮れる前に、さっさと山を降りな。蔵馬………奈由のこと、くれぐれも頼んだよ」
「…はい、幻海師範」
幻海の言葉に、秀一は力強く応え頭を下げた。
そして、奈由と秀一は、幻海に見送られながら、寺の門を抜け、階段を下った。
『幻海さーーん!また来まーす!本当に、本当に………有難うございましたーーー!!』
階段を降りる途中、奈由は名残惜しそうに後ろを振り向き、幻海に、満面の笑みで手を振った。
「…待ってるよ」
届きはしない、囁くような声で言う幻海は
小さく手を振り
2人の姿が見えなくなるまで…
そっと…………見送り続けた。
「さて、急いで帰りましょう。新幹線の時間もありますしね」
『あ…ちょっと待って』
「……どうしました?」
暫く山道を下ったところで、突然、奈由は、ピタリと足を止めて、
真剣な表情で、言った。
『山を降りる前に…もう一度だけ、行っても良いかな?…菫川に』
秀一は、奈由の突然のお願いに、多少の驚きはありつつも、全く想定していなかった訳ではなく、至って冷静に、その言葉を受け入れた。
そして、奈由の目を見つめて、今一度、その意思を確認した。
「大丈夫…なんですか?」
『うん。朝咲ちゃんに…ちゃんと挨拶してから、山を降りたいんだ』
気持ちに、揺らぎはない。
私は……大丈夫。
「行きましょうか」
『…有難う、秀一君』
微笑み合う2人は、肩を並べて、再び歩き出した。
あのーー…菫川に向かって。
『ふうぅぅ』
相変わらず、なんて清々しい場所。
川に到着した奈由は、手始めに、深い深呼吸をした。
その様子を、少し後ろに下がった位置から、秀一は静かに見守った。
『えっとぉ~………あ!これにしよ』
深呼吸でリラックスした様子をみせる奈由は、キョロキョロと地面を見渡し、1束の雑草を発見した。
すぐさま、雑草の生える場所まで歩きだし、その場にしゃがみこんだ。