第22話:過去の日の呪縛
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「生きとし生けるものに、死は必ず訪れる。だけど、また生まれ変わる時がやってきます。朝咲さんも…きっと、また新たな命として、この世に存在しているかもしれませんよ」
『……でも!でも、朝咲ちゃんは…あんな惨い死に方をしたんだよ?あんな苦しい想いをしたのに…そんな死に方をして……魂が浮かばれるのかな…』
「勿論。現に、良い事例があるじゃないですか」
『え?』
秀一は、奈由の髪を一撫でし、笑顔を浮かべた。
「俺とアナタが良い例です。俺達だって、前世では悲惨な末路を迎えた。だが…今はこうして、新たな生命となって……ここに存在してる。それが何よりの証です」
魂を通わせ、永遠の愛を誓い
これからの2人の未来に
希望を垣間見た矢先に…閉じられた人生の幕。
未練ばかりが、残った。
だけど
激しい痛みと、深い悲しみ
強い憤りを感じながらも
来世に、奇跡を願って、死を受け入れた。
紆余曲折は、あったけれど
結果として、俺達は
今こうして、ここで
共に……生きている。
「南野秀一。盟王学園の生徒。母、志保利と2人暮らし。裕福ではないけれど、倖せに暮らしてる。成績優秀、眉目秀麗…なんて言われることもあるかな?」
『ぷっ…ふふっ、それ…自分で言うかな?普通…』
「はははっ、冗談ですよ。そして……群青奈由。同じく盟王学園の生徒。沢山の友人に囲まれ、彼女の周りには、いつも笑顔が溢れている。可愛らしくも、勇敢な面もあり…とても、素敵な女性です」
例え、前世が
辛く悲しい最期だったとしても
いつか、こうして
新たな命として生まれ変わり
倖せを掴み取れる時が、やってくる。
南野 秀一が
群青 奈由が
そうであったように。
「……祈ってあげましょう。生まれ変わったであろう、朝咲さんの倖せを。奈由のように、素直で優しい子の祈りは…きっと、彼女の魂に届きます」
『……秀一…君…』
奈由は、秀一の背中に、手を回しギュッと抱きついた。
この腕の中にいると
抱えていた苦しみがいっきに、解放されていく気がする。
『秀一君っ…有難う……』
「こちらこそ。苦しみに、耐えながらも…今日まで…頑張って生きてくれて有難う。アナタは…俺にとっての……生きる意味ですよ」
呪縛の鎖は、いとも簡単に
心の中で、解けていく。
奈由は
涙を零して、浄化しながら
芽吹き始めた温かな感情に、頬を染めた。
『秀一君……』
「……奈由」
~続く~