第22話:過去の日の呪縛
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『……10年前にね、お隣に住んでいた家族と凄く仲が良かったんだ。お隣さんには1人娘がいて…私の……一つ年下……名前は……朝咲ちゃんっていったの』
察するに、その〝朝咲〟という子が
事故の………犠牲者か。
秀一は、そんな考えを巡らせながら、静かに、話に耳を傾けた。
『朝咲ちゃん、普段は物静かな子だった。あんまり喋らないし、人見知りも激しくて、おとなしい子だった。だけど、私はそんな朝咲ちゃんのことが妹のように…可愛かった。可愛くて仕方なくて、大好きだったんだ』
年相応のハツラツさは無くて
今にして思えば、子供の遊びを、どこか達観しているような節もあった気がする。
大人びているのか
ただ、大人しいだけなのかは
今はもう、分からない。
でも……それでも
私が遊びに誘えば
何も言わず、いつも傍にいてくれる
優しい一面が、あった。
私達は、あの時、いつも一緒だった。
だけど
『ある日、朝咲ちゃんの家族と、私の家族でキャンプに行ったの。朝咲ちゃんのお父さんがアウトドアが好きな人でね、穴場の場所があるからって…誘われたんだ』
「それが…あの菫川」
『うん』
あの日の川は、とても穏やかだった。
お天気も良く、絶好のキャンプ日和。
お父さんもお母さんも、キャンプの開放感からか、とても楽しそうにしていたのを覚えてる。
夏休みの最高の思い出になると
誰もが、信じてやまなかった。
それなのに
『あの日…珍しく、朝咲ちゃんの方から、浅瀬で遊ぼうって誘ってきたの。私びっくりして…嬉しくて…朝咲ちゃんに手を引かれるまま、川の中に入った。そしたら……突然…』
穏やかだった筈の川が
氾濫を起こして
私達2人は、巻き込まれた。
両親達が気が付いた頃には、もう手遅れ。
もの凄い氾濫で、大人でも飲み込まれ兼ねないほどの勢いだった。
私は助かったけど
朝咲ちゃんは…
『…その後、私は病院に運ばれたの。目立った外傷は殆どなくて、軽い治療で済んだけど…』
ーーーーあの時
朝咲ちゃんのご両親が
朝咲ちゃんを助けようとして
怪我を負ってしまったから
病院で、鉢合わせてしまった。
私、気まずくて
でも、目を逸らせなくて
『ごめんなさい』って
私の方が、お姉ちゃんなのに
朝咲ちゃんのこと守れなくて
『ごめんなさい』って
謝らなくちゃいけなかったのに
なかなか、言葉がでてこなかった。
そしたら
朝咲ちゃんのお母さんが
私にーーーーーーーー言ったの。
「何で…何でよ…っ…どうして!どうして!!アンタじゃなくて…ウチの子なのよ!!!」