第22話:過去の日の呪縛
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『ぜんっぜん、寝れない』
気が付けば
眠れないまま数時間が経過した。
頭はすっかり冴えてしまい、暫く寝付けそうにない。
布団に入る前が、確か…22時前後。
体感的に3時間は経っていそうだから…今は、夜中の1時過ぎってとこかな?
こんな時間まで眠れないなんて、明日の修行が心配だなぁ。
『気分転換に散歩しよっかな…』
思い立てば、行動は早い。
奈由は、身体を起こすと、キャリーケースから肩掛けを、1枚取り出して、パジャマの上に羽織った。
『これで、よしっ』
やっぱり、夜中は冷えやすい。
これで寒さ対策は、準備万端。
奈由は、襖を開き、部屋の外へと出た。
『あ…?』
縁側沿いの部屋のため、襖の向こう側は、庭に直結している。
そして、すぐさま、目の前に飛び込んできたのは、1人の男性の後ろ姿。
庭で夜空を見上げるその人は…紛れもなく、南野秀一の姿だった。
『秀一君…?』
「ん…奈由…?」
名を小さく囁くと、秀一は直ぐに気が付き、奈由方へと振り向いた。
視線がぶつかり合うと、秀一は心なしか少し足早に、奈由に駆け寄った。
「奈由、もう…大丈夫なんですか?」
『え?あ、うん!全然、大丈夫。ごめん…心配掛けちゃったね』
「あぁ…いや、本当に…良かった」
どうやら、相当に、心配していたようで、肩の力が抜けた様子を見せた。
奈由は、何故か申し訳ない想いに駆られ、何とか秀一の心配を少しでも払拭しようと、腕を伸ばしたり開いたり、無駄に元気な姿を披露してみせた。
『ほら!ね!?もう、こんなに元気だよ!なーんてことないよ!』
「え、ええ…?そのようですね」
『たくさん寝たからか、全然寝付けなくてさ!体調も良いし、少し庭を散歩しようと思ったの。秀一君は?秀一君も眠れないの?』
「…ええ。少し風を浴びたくて」
シン…としたこの空間で、穏やかな風に包まれれば…ほんの少しでも煩悩が消え去る気がした。
だけど、なかなかそう簡単にいかないようだ。
「調子が良いようであれば、少し……一緒に歩きますか?」
秀一は、柔らかく微笑み、奈由に手を差し出した。
『…うん』
差し出された手に、奈由は自分の手を重ねると、縁側に置かれていた下駄を履き、秀一に導かれるように、庭を歩きだした。