第22話:過去の日の呪縛
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「その後、警察に救急……厄介なことに、マスコミの奴らなんかも来てね…大騒動になってしまった。現場は捜索のため封鎖され、暫くは立ち入る事が禁じられた。新聞の見出し自体は小さかったが、その事故は、多少なりとも世間に衝撃を与え、キャンプ好きの奴らも、菫川には殆ど近寄らなくなった」
「…………」
受け止めるには、あまりに後味が悪すぎるな。
奈由の気持ちを想えば
これが、どれだけ辛いことなのかは理解できる。
…修行のため、この寺に来て
奈由は、どんな想いで過ごしていたのだろうか。
フラッシュバックに、1人苦しんでいたかもしれない。
俺や幻海師範に
悟られないよう、心配掛けないよう
じっと…耐えていたんだろうか。
「…アタシは少し、奈由の様子を見てくるよ。蔵馬は、部屋に戻って休め」
「…分かりました」
幻海は膝に手を付き、ゆっくりと腰を持ち上げた。秀一も、それに合わせて立ち上がると、共に部屋を出た。
「まぁ、蔵馬が気に病む気持ちも分からんでもないが……明日は、出来る限り、普通に接してやれ。じゃあ…おやすみ」
「……おやすみなさい」
広々とした廊下で二手に分かれ、幻海は奈由の部屋の方へと、歩いて行った。
秀一は、複雑な想いを心に巡らせながら、幻海の小さな背を、暫く…見送っていた。
『ん……ん?』
重たい瞼を、ゆっくり開くと
最初に目に飛び込んできたのは、木枠の天井照明だった。
オレンジ色の豆電球が、唯一灯りを照らしているが、周囲は暗闇に包まれている。
奈由は、夢現に頭がボーとし、なかなか状況が理解できずにいた。
『ここは…?』
暗がりの中、寝ぼけ眼の目をキョロキョロと動かしながら目を慣らし、周囲の様子を確認する。
布団の中、か。
真上には天井。
右側には、タオルと水が置いてある。
奈由は、自分の身体が、汗ばんでいることに気が付き、ゆっくりと上体を起こした。
照明の紐に手を伸ばすと、電気を全開に明るくした。
『うぅぅ!眩しっ…』
急激に光が差し込み、おもわず目を伏せたが、何とかタオルまで、手を伸ばして身体を拭いた。
『ふぅ…』
顔や首回りの汗を拭うと、少しスッキリとして、頭も冴えてきた。
私、修行してたんだよね?
確か、秀一君と一緒に…?