第22話:過去の日の呪縛
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ーーーーーーーーーーーーーー
●月●日、午後14時頃。
残暑の厳しい初秋の日、ある家族に悲劇が襲った。
△△県××市の菫川(すみれがわ)にて、4歳の女子児童が行方不明となった。
女子児童は、家族、友人達とキャンプで菫川を訪れ、川遊びの最中に、突然起こった川の氾濫に巻き込まれ、そのまま行方が分からなくなった。
なお、一緒にキャンプに訪れていた友人の5歳女子児童も、川の氾濫に飲み込まれたが、無事に救出された。
4歳女子児童は、今もなお警察による、捜索が続けられている。
ーーーーーーーーーーーーー
「……アンタ達が今日行った、川で起きた事故だ。もう10年も前のことになる。情けない話だよ。アタシも、すっかり忘れてしまっていた」
幻海は、噛み締めるように言い、そして瞳を閉じた。その頃に想いを馳せ、偲ぶように。
秀一は、呆然としながら、ジッと…小さなその見出しを見つめていた。
「行方が分からなくなった娘は、未だ見つかっておらん。もう10年も経つからね…捜索も、とっくに打ち切られているよ」
「では…救助された5歳の少女というのが」
「………奈由のことだ」
頭を強く殴られたような衝撃が、秀一に襲い掛かった。
そんな悲劇の過去を
奈由が抱えていたこと
気づきも、しなかった。
幼かった彼女には、あまりに残酷な出来事だったはず。
今日の奈由の様子を見る限り…
奈由は
過去の苦しみの呪縛から
未だ解放されていないんだ。
明るく気丈に振る舞う姿の、その裏で大きな闇を抱えていたんだ。
「っ…」
秀一が表情を歪めると、幻海は続けて、過去の日について語り出した。
「菫川は、今じゃあ…滅多に人は来ないが、昔は穴場と知って……キャンプ好きなヤツらが時々訪れておった」
当時の事を鮮明に思い出しながら、淡々と語る幻海。
秀一は、ただ集中し、話を食い入るように聴き続けた。
「事故当日………妙な胸騒ぎを感じてね、川まで降りたんだよ。案の定、事故現場に遭遇した。その場にいた大人達は皆、混乱していてね。奈由は川に流されたが、数メートルほど離れた川の下流で意識を失った状態で発見した。かなり衰弱していたが、アタシの術を使い、何とか一命を取り留めた。だが、もう1人の娘は……」
見つからなかった。
行方知れずになった娘の両親は、今にも、川へ飛び込みかねないほど、取り乱していた。
何とか制止し、思い留まらせたが
あの時の絶望した状況は
見るに耐えられないほど…
ーーーーー悲惨だった。