第21話:短期修行の巻
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
まさに鬼教官、幻海。
腑に落ちない部分は有りつつも、ここは、指示に従うしかないと腹をくくり、奈由は、座禅に集中することにした。
その様子を間近で見つめていた秀一は、まるでコントのような2人のやり取りに、つい吹き出しそうになったのを何とか堪えて、奈由と共に、座禅のスタイルを組むことにした。
『~~~~っ…』
「もっっと集中せい!」
バチーーーンッッ!
『アガッッ!!』
山々に囲まれた静観な寺に、警策の音が、何度も何度も…鳴り響く。
座禅開始時は、集中力が欠けているあまりに、繰り返し警策で打たれ続けていた奈由だったが…
時が経つにつれ
次第に、その回数は減っていき
数時間後
奈由は…
精神の変化を、実感していた。
『…………』
ーーーーーーー分かる。
妖気が身体の中を巡っているのを。
これまで…他人の妖気を感じることには敏感だったけれど、自分自身の妖気に対しては…ある意味、鈍感だった。
だけど、今ならハッキリと感じる。
やっぱり私は、普通の人間には無いものを、この身体の中に秘めている。
溢れるように、漲る妖気の波。
巡り巡る、妖怪の生命の源。
なんて、強いエネルギー。
そして
なんて…懐かしいんだろう。
「……ふっ」
気が付けば、部屋の掛け時計が、19時を指し示していた。
幻海は、未だ座禅に集中している奈由の姿を見つめて、小さく微笑んだ。
この娘、なかなか飲み込みが早そうじゃな。
だが、まだまだこれから。
修行は、始まったばかりだ。
「よし。今日はここまでにするか」
『はぁ…はぁ……』
夕食後、息つく暇もなく、再び1時間半の座禅を組まされたが、それもクリア。何とか、初日の修行を乗り切ることができた。
奈由は息を切らして、崩れるように縁側に座り込んだ。
初日ということもあるが、奈由は、とんでもなく疲弊していた。
だが、どこかスッキリともしていて…視界がクリアになり、清々しさも同時に感じる。
「明日は、早朝6時から7時まで座禅。7時から朝食を摂ったら、その後は13時まで座禅。午後からの修行は、蔵馬に任せることにする。良いな?蔵馬」
「はい、幻海師範」
あっさ…6時からの座禅!?
からの朝食で、再び座禅~!?!?
『あ、明日も座禅…』
あまりにハードなスケジュールを叩きつけられて、奈由は呆然とした。
実際に、座禅をしてみて実感したことがある。
幻海師範が言う通り、私の妖気は、蛇口の閉め方が分かっていない。
流れる妖気を意識的に、身体の中で綺麗に巡らせようとしても、これがなかなか難しい。
ただ座っているだけで…相当な、精神力と体力を奪われていく。
明日も、上手くやれるんだろうか。