第21話:短期修行の巻
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「さて、そろそろ行きましょうか。幻海師範が待ってますよ」
『…うん。そうだね!』
秀一は、奈由の荷物を持つと、肩を並べて、石畳みの階段を登った。
不安ばかりだった修行が
秀一君のおかげで
少し、楽しみになってきた。
秀一くんが、傍にいる。
それだけで
それだけが、何よりも
私にとって、心強くって
唯一無二の支えなんだよ。
ーーーありがとう。秀一君。
「幻海師範、到着しました。」
「…ん、入りな」
インターホンは鳴らさず、引き戸の玄関を開けて、寺の中に入った。
奈由は、秀一に誘導されるがまま、縁側に沿って廊下を歩くと、とある部屋の襖の前に到着した。
襖越しから秀一が、幻海に向かって声を掛けると、重厚感のある威厳に満ちた声で、返事が返ってきた。
「失礼します」
『…失礼します』
秀一が、襖をソッと開けると
中には、1人の年老いた女性が、茶を啜りながら待ち構えていた。
この方こそが…幻海師範。
「よく来たね。待ってたよ」
思いのほか、小柄な幻海師範の姿に
奈由は、少し驚きつつも
ーー待ってたよ
と言ってくれた幻海に、不思議と…どこか懐かしさを覚えた。
「幻海師範。彼女が、群青奈由さんです」
『あ…は、初めまして!群青奈由と…申します。今日から1週間、よろしくお願いします』
奈由は慌てながらも、その場で礼儀正しく御辞儀をした。
その姿を見つめながら、幻海がフッと微笑んだ。
「アンタが……そうかい。ほれ、もっと、近くに来な。長旅で疲れたじゃろう」
『は、はい…』
秀一と奈由は、部屋の奥へと進み、座敷机を間に挟んで、幻海と向かい合わせに腰掛けた。
「アタシの名は幻海だ。こんな身形をしているが、これでも一応、霊能力者だ。よろしく頼むよ」
『はい、よろしくお願いします』
「コエンマから、だいたいの事情は聞いてるよ。幽助の…霊界探偵の助手になったそうじゃな?」
『はい。そのために1日も早く、力を身に付けないといけないんです』
幻海は「なるほどねぇ…」と囁くように呟き、ゆっくりと立ち上がった。
そのまま縁側の方まで歩き、外の景色を眺めている。
「楽な道ではないよ。それも……覚悟の…上だね?」
『…はい。もう覚悟は出来てます』
これまでも幾度となく、覚悟を迫られてきたんだ。
もう決して、ブレることはない。