第21話:短期修行の巻
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ほんじゃ、ここにサインだな。それとぉ~~こっちには実印を押してくれ。あ~あと、こっちにも頼む。抜かりないようにな」
『………』
私は、目の前に広げられた契約書を見つめながら、自分の中でジワジワと笑いの波が押し寄せてくるのを感じていた。
「どうした?押さんのか?」
『……なんか…ほぼアルバイトの契約ですね…これ…』
霊界探偵助手の任を受ける契約の儀。
未知の世界との契約なのだから、それはそれはさぞかし厳かで、神聖なものだろうと勝手に想像していた。
だけど、実際のところは
コエンマと2人、ファミレスでドリンクバーコーナーからとってきたカルピスとアイスティーを飲みながら書類を記入する、なんともラフなものだった。
ちなみに、本日のコエンマは
おしゃぶり無しの大人スタイルで、カジュアルなワイシャツにジーンズ。
本人曰く、人間界限定スーパースペシャル余所行きスタイル☆だそうだ。
「そりゃあまぁ…ある意味アルバイトみたいなもんじゃからな。ほれほれ、早よせんか?」
『あ…はい』
コエンマさんって、意外にせっかちな人だな…なんてことを考えながらも
奈由は急かされるまま、書類を一通り記入し終えた。
「…うむ。全部、記入できたようだな。では、これから…霊界探偵助手として、正式に働いてもらう。よろしく頼んだぞ。奈由」
『よ…よろしくお願いします!!』
こうして、遂に、晴れて
群青 奈由は
霊界探偵助手と…なった。
………まっったく実感湧かないけど。
「いやぁ~こちらとしては、無事に引き受けてもらえて一安心しておる。ぼたんもこれで少しはラクになるだろう」
『すみませんでした。二転三転してまって…』
「いやいや、謝ることはない。しかしだな…一度は断ったというのに、何か心境の変化でもあったのか?」
カルピスを飲みながら、終始リラックスモードのコエンマ。
これまで、2人でゆっくり話をすることもなかった。
これも良い機会だと思い、ゆったりと談笑を交わすことにした。
『これから先…また妖怪達に襲われたりする場面があるかもしれないし、それに周囲の人を巻き込む可能性もあると思うんです。その時のためにも、ちゃんと力を身に付けておかないとって…考え直したんです』
「確かにな。何もしないで受け身でいるよりはずっと良い。おぬしの妖力は少しづつではあるが、着実に増幅しておる。だが……」