第20話:嘆きの華
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『私ね、今回の一件で…気付いたことがあるの』
「何を…ですか…?」
奈由は、自分の右手に視線を移した。
何の変哲もない、右手。
だけど、その手の表面をジッと見つめていると
途端に、あの時の…記憶が再び蘇る。
螢子とぼたんが、怪我を負わされ傷付いたあの瞬間。
あれから、何度も脳裏をフラッシュバックしてくる。
あの記憶…あの出来事から…
奈由は
1つの、気付きを得たのだ。
『木花であることを受け入れる…それって……私だけの問題だと思ってたの。でも…そうじゃないんだよね。妖怪の世界が身近になるということは、私の周りにいる…大切な人達を巻き込んでしまうかもしれない… 』
秀一君が
私が危険に巻き込まれることを
危惧してくれたように…
私自身も、私の大切な人達が
危険に巻き込まれないような
もっと、配慮が必要だ。
妖怪の世界を受け入れると決めたのは、私の勝手なんだ。
私の勝手で、誰かを巻き込むことは
絶対にあってはならない。
だから、私には…
周りを守る、その責任がある。
そのためにも
このまま、生半可な状態はダメだ。
『私が木花を受け入れることで、周りの人達に迷惑を掛けることがあっては駄目。だからこそ……ちゃんと能力を身に付けたい。中途半端じゃダメなの。周りの人も守れるくらいの…力を身に付けたいの』
だから、私…
『私は、霊界探偵助手になる』
「………覚悟の上、ですね?」
『うん。それが、今の私には1番良いと思ってる』
秀一は、複雑な表情を浮かべたまま
その後、何も言わなかった。
ただ
共に受け入れる覚悟を決めたのか
奈由の手を握り締めて
肩を並べて、再び歩み出した。
奈由もまた
戸惑いつつも
新たな世界を2人で歩み行く
覚悟と不安を、胸に深く刻みながら
秀一の手を
強く、強く握り返した。
~続く~